月猫ツーリスト

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

騙し漆展(違います)

2週間ほど前ですが,三井記念美術館で開かれている,「柴田是真の漆×絵」を見てきました.
柴田是真は江戸末期から明治時代に活躍した漆工芸の人.工芸は基本的に疎いのと,明治以降は基本的に疎い私のこと,要するに今回初めて知った方です.


展示内容は,最初は漆工芸,その後に絵画,そして漆工芸をするためのネタ帳と続いていましたが,まずは漆工芸.漆って,あの漆黒が綺麗ですよね〜と思いながら見ておりましたが,今回の展示はそれでは終わりません.
今回の展示の目玉,それは漆を使った視覚のマジック,言ってみれば騙し漆の世界…….例えば,どこから見ても銀の器のように見えるものを,漆工芸で作ってしまったり,とか,ひびが入ったのを修復しているかのように見えるように漆を塗ってしまったりとか…….やっぱり江戸時代の職人さんって洒落が効いているよねぇ.


そして更に飛ばしているのが,顔料の代わりに漆で書いてしまった掛け軸,すなわち漆絵.掛け軸は巻いたり曲げたりするものなのに,その上に漆で絵を描いてしまって剥がれたりしないのだろうかと心配になりますが,剥がれたりしないように書いてしまうのが名人ってもんなんでしょうね.それにしても漆で書いているので,描かれている鳥とかが良い発色で,これはこれで良いなと.


とまあ,漆ですっかりだまされた後に,一番最後に真打ち登場.「花瓶梅図漆絵」というものですが,タイトルを聞かずに作品を見ると,どう見ても仏壇にでも使う紫檀の板の上に梅の絵を漆塗りしたようにしか見えません.しかし,実態は紫壇の模様を含めて全て漆で書いたもの…….全く世の中には凄い人がいたもんです.


普段はほとんど見向きをしない工芸の世界も,こんな風に洒落が効いていると見るのも楽しいもんですね.