月猫ツーリスト

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津波の危険性を考える

27日に発生した地理での地震に対して,日本ではその翌日に大津波警報を含めての警戒が1日以上にわたって続いたわけですが,津波の高さが3mの予想に対して実際は1.2mが最高だったために,予想が誤っているとか騒ぎすぎという評価をする向きも有ったようです.私の感覚では,この程度の差異は防災予報の分野だということを考慮すると予想を外したうちには入らないのですが,何をとち狂ったのか気象庁の人が会見で謝ってしまったという情報があり,困ってしまうわけです.
といいますか,気象庁で会見されたかた,取りあえず日本人的に謝っておいた方が良いと判断したのでしょうが,科学的見地に基づいて,その時点では最良の予測を行ったのであれば,「予測が誤っていた」のではなく,「予測よりも実際は小規模だった」という表現をしていただきたいところ.誤りという表現は使うべきではありません……,と書きつつも,一次資料(記者会見の全文)が入手できたわけではないので,本当はどう言ったのかは不明なのが辛いところです.


ところで,津波は「波」という字を使いますが,実態は海で見かける波のイメージではなく,物理用語としての波ととらえないといけません.
津波は,地震の揺れ−揺れというのも正確ではないですね−地震に伴う海底の急激な隆起/沈降に伴って海水が急に持ち上げられたり沈み込んだ結果,周辺ではその逆に沈み込んだり持ち上がったりが発生する,という海水の密度のようなものが異なる領域が順々に伝わっていく現象です.まぁ普通の波も原理は一緒で,単にきっかけが地震ではなくて風とかだったりするだけなんですが,規模が違う分,持っているエネルギーが全然違うということになります.音にたとえると,普段の波に当たるのが通常の音,津波に相当するのが衝撃波ということになります.

んで,津波は地震から生まれるというのが大きな問題で,巨大地震では断層が100km以上動くこともあります.確か阪神淡路大地震の際は,120kmだったか断層がずれたはずです.ということは,その100km以上の断層の上に乗っている水の全てに,瞬間的に位置エネルギーが与えられる,ということです.どんだけ大量の水を動かせば気が済むねん,という状況が発生することになります.で,結果として,非常に波の高い状態が続いたり,ということもあるわけです.

それから,津波の高さですが,これも注意が必要です.
津波の高さは,実際に来た波の高さ(というと不正確だが,説明は手抜きします)から「つなみも通常の波もない,純粋に潮汐の影響だけで発生する波の高さの理論値」を引いたものとなります.なんで,同じ津波の高さ2mでも,満潮の時と干潮の時は大違い.今回の津波では,第1波こそ満潮時刻と重なりましたが,最大派の時は満潮の時刻から微妙に過ぎていたので,その分,波の高さは低くなっていました.

また,津波の高さが2mだと,標高2mを越えれば安全のように思いますが,実際にはそれ以上の高さ−場合によっては3倍くらいの高さ−まで行くことがあります.これは,通常の波と違って津波の場合は奥行きがあります.海底の地形の変化をきっかけに生まれるので,その地形の変化が起きた場所の幅があれば,津波の奥行きも増えるわけです.NHKのニュース解説では,奥行きが100kmに達する場合があるという図が出ていました.そんな奥行きのある水の固まりが上陸してくるわけですから,津波の高さ以上に高いところまで水の被害が出るわけです.
また,奥行きがありますので,例えば30cmの津波だとしても,もしもそこに立っていたとすると,流れのある川で膝までつかった状態で歩くようなことになりますので歩くのは困難.万が一倒れてしまうと付近のコンクリートに頭をぶつけて大怪我または死亡ということにもなりかねない.まあ,実際には50cmくらいまでは堤防が守ってくれる場合の方が多いと思いますが,少なくとも自分から海岸に近づいていってはいけません.


と,津波は数字から受ける印象以上に,高さも,時間も,面積も,大きな影響が出るものです.正直なところ,津波の高さ以外の,危険度を知らせる良い指標があれば,ここまで勘違いされないと思うのですが…….良いのが思いつかないでです…….