月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

琳派芸術(後期)@出光美術館

さて、先日書きました前期に続きまして、「琳派芸術」の後期を見てきましたので簡単に感想を。
前期の中心は光琳と金屏風でしたが、後期は江戸琳派と銀屏風の世界という触れ込みでしたが、実際はどうだったか。

第1章 琳派の系譜

まず最初は「琳派の系譜」。琳派の大和絵が沢山展示されていて大和絵好きには素敵な空間が出来ていました。

鈴木其一「三十六歌仙図」
最初を飾っているのはこの作品。三十六歌仙図の決まりに従って斎宮女御を除く35人しか描かれていないのはいつものことです。35人の方が圧縮されて座っているのはユーモラスです。それにしてもこれは絵表装。またの名をだまし掛け軸(と、今命名した)。其一さんの十八番の一つですが、よく同じパターンをずれもなく描けるもんだと感心する次第です。
酒井抱一風神雷神図屏風
光琳風神雷神をトレースしたような作品。抱一の光琳への愛が伝わる作品でした。
俵屋宗達源氏物語図屏風残闕」
やまと絵コーナーというか、宗達オンステージ。源氏物語の場面でやまと絵なのに、場面の動きがわかるのが宗達クオリティ。光源氏が若紫の髪を「くしけづる」場面では「千尋」と言っている光の君の声が聞こえてきそうです。:酒井抱一「八ッ橋図屏風」:これまた、光琳さんへのオマージュな作品。でも光琳さんのものは八ッ橋がかっちりした印象ですが、抱一さんは垂らし込みで緩めに描かれている感じ。私は抱一さんの方が好きだ、と言いたいですが、今度光琳さんの八ッ橋図屏風が根津美術館にやってきますので、それを見てから判断しまょう。

それにしても、伊勢物語はちゃんと読んでおかないと、描かれている場面が判らないのが幾つかありまして。勉強しなくちゃ。

第2章 薄明の世界

第2章は銀屏風の世界です。銀屏風は頭の中で酸化する前の色を想像しないといけないのが面倒ですが、でも好きなんですよね。

酒井抱一「夏秋草図屏風草稿」
東博にある「夏秋草図屏風」の下描きです。下絵ですが、充分に野分の感じが伝わってきます。
鈴木其一「秋草図屏風」
抱一さんらしい繊細可憐さが好きだわ。

第3章 抱一の美

ここまでも抱一さんや其一さんの作品が沢山ありましたので、言ってみれば、1章と2章に入らない抱一さんの作品を集めたコーナーということろでしょうか。

酒井抱一「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」
抱一の十二か月屏風は色々な種類があるので、だんだん記憶が混在してきてますが、今回見たのも良かったです。オシドリさん、サギさん、メジロさんが可愛くって、ちょっと鳥萌えの境地になったかも。

第4章 其一の美

そして最後は、其一さんで締めます。

鈴木其一「疏菜群虫図」
若干、伊藤若冲さんの糸瓜群虫図を思い出したりもしますが、トンボやナスが涼やかで良い感じです。


あら、江戸琳派が中心の展覧会だったはずなのに、最初のやまと絵、特に俵屋宗達さんばかり見ていたようですね。
それにしても、見ていて楽しい展覧会でした。会期は3月21日までなので、もう一回行って、じっくり眺めますよ、ええ。