月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

酒井抱一と江戸琳派の全貌@姫路市立美術館

この日曜日ですが、姫路市立美術館で開かれていた「酒井抱一と江戸琳派の全貌」を見てきました。

姫路という街は仕事の関係で13年ほど前には毎週のように通っていたのですが、それ以来すっかりご無沙汰してまして。良く考えると姫路城すら見たことがないという体でして。
ということで、初めて見た姫路城がこの姿とか、それでいいのか?私の人生(汗)。


それはともかく、姫路市立美術館です。今回到着したのが、酒井抱一展最終日の、閉館1時間前というタイミング。このタイミングでしたが、館内は入場制限こそ無いものの、各作品に2〜3人程度はいる大盛況でした。姫路は大阪から新快速で1時間程度かかるところですので、東京で喩えると平塚市美術館が時間的には該当するような場所。それでこの混雑とは、皆さん琳派がお好きですね〜(人のことは言えない)。


展示のほうは大きく、

  1. 姫路藩の次男としての、酒井家との関係に関する章
  2. 青年期の、肉筆浮世絵などを描いていた頃
  3. 琳派を始めた頃の作品
  4. 仏画関連
  5. 最盛期の作品
  6. 鈴木其一さん
  7. 其一以降の江戸琳派

という感じに分かれていました。


最初のほうの作品は、本当に肉筆浮世絵。琳派のイメージとは遠いですが、これも抱一です。この頃は吉原通いをしていたそうですが、大名の次男、しかも仮養子(要するに藩主に万が一があった場合のスペア)としては、そうそう政治的に目立つことをするわけにもいかない(有らぬ疑いで殺されたらたまったもんじゃない)というのはあったんじゃないでしょうか。

浮世絵モードから琳派モードになると、あら、早速たらし込み。鳥獣戯画をモチーフにした絵が超絶可愛い。へっぴり腰のうさぎさんが、弓を引いてますよ。

東博の四季花鳥図巻。たぶん見たことがあるような気がしますが、絵巻のなかに様々な草花や鳥が描かれていて華やか。これはぐいっと拡げて見てみたいです。花鳥図屏風ですが、こっそりとカマキリがかっこいいです(あれ?)。

同じく東博の夏秋草図屏風。光琳風神雷神図屏風の裏に描いた、あの作品です。屏風の裏に描かれていた(今は分離していますけど)ものなので、どうしても痛みが目立ちますが、この作品は琳派的な川の流れより、野分に揺れる花の表現が好きです。

桜に小禽図・下記に小禽図。抱一が晩年に沢山描いた、掛け軸になった花鳥図です。鳥の目がかわゆいのが好きです。
可愛い鳥と、可憐な花と、垂らし混みの枝の組み合わせ、華やかではないけどしっとりした感じが、風流に感じます。


などと抱一の感想を書いていますが、本当にテンションが上がったのは後半三分の一の其一、江戸琳派のほう。こちらはひたすら、楽しいです。

ということで、鈴木其一さんの作品から。
群禽図。画面いっぱいにたくさんの鳥が乱舞するさまが描かれていますが、注目は中央のフクロウ。凄くリアルなのが素敵。そのフクロウの周りを飛んでいる雀などの小鳥たちは、怖くないのかしら?。

藤花図が、出光と細見から一幅ずつ。藤の花だけを描くのが面白い。観察して書いたなのというのが良く判るリアルさで、其一さんの面白さは観察眼だと思うのです。

雪中双狗図。雪の中を走りまわる子犬たち。しかしこの子犬は、ネズミ小僧?

それから、描表装の作品も何点か。描表装は華やかな感じが良いです。


このあと、江戸琳派の作品も続くのですが、入場した時間が遅かったので時間切れ。余り丹念に見ていません。ただ、妙な特徴があって

ちゃんとそれぞれの美術館が、特徴をわきまえて収集しているのが良く判ります。それにしても、板橋区立美術館は変わったものに手を出し過ぎなきが。館長さんの嗜好もあるんでしょうねぇ……。