月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

ザ・ベスト・オブ・「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション」

11月中旬から開催されている、山種美術館の「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション」。山種美術館の創立45周年を記念して山種美術館の収蔵品の中から、特に著名なものを90点あまり、前後期に分けて展示しています。
当然、どれも良い作品なのですが、その中から無理やりベスト10作品を選んでみました。いかに、各作品の感想を書いてみます。なお、順番は前期後期関係なく、図録の掲載順です。

岩佐又兵衛「官女観菊図」
山種にある作品では、最も古い時期の作品。牛車から顔を出しているのは六条御息所と娘の斎宮という説もあるそうですが、斎宮にしては妙齢過ぎないかと……。模様や草花の細かさが、岩佐さんだなぁと思う作品です。
酒井抱一「飛雪白鷺図」
酒井抱一の晩年の作品。多分、12ヶ月屏風の一部ではないかというものです。飛んでいる鷺と地表の鷺がアイコンタクトをしているようで、微笑ましい感じです。
竹内栖鳳「班猫」
毛づくろいをしながら後ろを見る猫さん、きっとこの後は後ろにいる人間(この絵を見ている人)のことは無視して、好きな方向に歩いて行くのでしょうなぁ。そんな勝手な猫の様子が見えてきます。
上村松園「蛍」
蛍を見かけて、ふと動きを止める女性、という空気感が素敵な作品。あと、大正期の上村松園が描く女性の顔って、なんとも若々しくて好きなんです。
松岡映丘「春光春衣」
松岡映丘の描く現代の大和絵はどれも好きですが、この絵は特に、そのサイズもあって圧倒されます。十二単のかき分けとか、素敵よね。そういえば前期はこの絵の前で足を止めている人が多かったような気が。
小野竹喬「沖の灯」
竹喬さんの茜色は吸い込まれるような煌きがあると思っているのです。この絵では、上の方の夕日があたっての茜色と、下の方の夕日があまりあたってない船の茜色が描き分けられていて、実際の色をよく見ているなぁと。
奥村土牛「醍醐」
実際に醍醐寺に行くと、こんな桜が確かにあります。でも今じゃ混んでいて絵を描くことは無理かもしれませんが。それにしてもこの桜の淡いピンクが、上品で素敵だと思います。
山口蓬春「梅雨晴」
蓬春らしい青と緑の色がすてきだと思う紫陽花です。なんか蓬春のパリッとした色を見ていると、不思議と落ち着いてきます。
速水御舟「百舌鳥巣」
あえて、炎舞でなくこちらを選んだり。だってこの百舌鳥の目が可愛いんですもの。
東山魁夷「秋彩」
京都の四季を描いた4枚の作品のうちの1枚。実際に嵐山の紅葉はこんな感じですね。せっかくなので、嵐山の紅葉の写真を1枚……。写真よりも東山魁夷のほうが京都の紅葉らしいのは癪ですが。


ちなみに、ベスト10には入らなかったけど、最終選考まで残っていたのは、速水御舟の「炎舞」や、川合玉堂、上村松篁、平山郁夫など。本当に10作品まで絞り込むのが大変でした。
この「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション」の図録には山種美術館にゆかりのある専門家の方々がベスト3を選んでいるのですが、翌3つまで絞り込むことができたなと、感心しきりでございます……。