ブリヂストン美術館でカイユボット展を見てきました。
カイユボットは、印象派を主に財政面で支えた方ですが、自らも印象派の一員として絵を描いており、最近注目されている画家、ということですが、日本のアートファンとしてはブリヂストン美術館が2年ほど前に収蔵した作品で度肝を抜かれた画家、という印象が強いです。
普段は日本のアート絵画を展示する第2室の壁を無くしていたりと美術館の気合いを感じる部分もありましたが、そういうことは置いておいて、作品を見て行きましょう。
まずは室内画のコーナーから。
- 昼食
- カーテンの向こうの明るいところと、テーブルの暗いところの間にすべての階調があるような。静けさを感じるところがハンマースホイ思い出したりします。
- ピアノを弾く若い男
- これがブリヂストン美術館が数年前に新規収蔵した作品です。これも窓の外からの光とピアノの黒の対比や、若干のピアノにデッサンの崩れが見られるあたり、ハンマースホイを思ってしまいます
- ピアノのレッスン
- ピアノの前に若い女性が二人いて……、一瞬ルノワールかと。
- 室内-窓辺の女性
- 窓辺に立つ女性の後姿を描いたものですが、これも窓からの光と女性の服のコントラストが印象的です。
つづいて、パリの町中を描いた作品。
- ヨーロッパ橋
- パンフレットなどでも使われていた絵ですが、何とも写実的。カメラよりもカメラっぽい絵だなぁと。蒸気が厚塗りなのが、ちょっとルノさんを思い出したりします。
- 見下ろした大通り
- 真上からの見下ろしとは珍しいです。都市化とは高さが生まれることなんだということを再認識します。
そして、自然の中で描いた作品です。カイユボットもヴィル・ダブレーでこそないものの、公害の自然の中で暮らしていた時期があって、そのときの作品ということです。
- イエールの庭園の樹木の下の小径
- 明るい森の中を描いています。木漏れ日の感じとかが、ベルギー印象派のような陰影だなと。
- ベリソワール
- 上の写真に使われているのが、この作品です。川幅を見ると南米の大河のようですが、多分フランスの河川でしょう。川面の揺らめく光の感じがいいです。
- ジュヌヴィリエの平野、黄色い畑
- 一面に広がる畑を描いた作品。印象派的な小さい色の重ね方が見られます。
- セーヌのプティ・ブラ、アルジャントゥイユ近く
- この水面の描き方はモネが睡蓮の池を描いた時のものに近い気がします
最後の方に、静物画もありました
- ひな菊の花壇
- ちょっと装飾的な描き方だなと思いましたら、図録を見ると、実際、部屋の装飾画を意図して描いたものだとか
と、途中、ハンマースホイとかルノとかいろいろ言いましたが、全体的にコントラストが高い作品が多いなというのと、印象派のいろいろな人の影響を受けているなというのを感じました。何となく、印象派の入門には向かないけれど、印象派の奥座敷として見ればいいのかな、などと。