月猫ツーリスト雑記帳

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官展によるそれぞれの近代絵画@府中市美術館

府中市美術館で開催されている「官展にみるそれぞれの近代絵画」展を見てきました。
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明治時代から戦前にかけて、日本の統治下にあった台湾、朝鮮、そして満州では、美術に関しても日本流が採用され、それぞれの地域で官展が開かれていたそうです。
この展覧会では、そんな各地の官展に関係する作品を集めて、日本に影響された部分、そうでない部分を見ていこうというもののようです。

展覧会は「東京」「ソウル」「台湾」「長春」と官展を行った場所ごとに章が分かれてましたので、その順にみてみます。


まずは東京。日本での官展は層も厚いですので、大陸の影響を感じられる作品を中心に展示してました。

  • 辻永「無花果畑」
    ナビ派のような平面性と色使いが印象的です。あと、ヤギかわいい。
  • 野田九浦「故宮址閑静」
    野に座るチマチョゴリの女子。淡い色彩もあって清楚な感じです。こんな感じの二人の女の子が座って語らう様子を描いた作品を他でも見たことがあるなと思ったら、鏑木清方の「讃春」(三の丸尚蔵館蔵)にありましたね。
  • 松林桂月「春宵花影」
    先日行った練馬区立美術館での松林桂月展では前記のみの展示となっていた作品が、こちらに来ていました。練馬区美では見られなかったのでラッキー。月明かりに透ける葉をたらしこみで描いているのが、風情があっていいです。


そしてソウル。全体的に作品の痛みが気になります。作品が保存できないような第二次大戦後の歴史があったことを思い出します。

  • イ・ウンノ「藤の木」
    そんなに主張の激しくない藤に存在感を感じる作品でした。


3番めは台湾。なんか「東京」で展示されていたものよりも日本的な作品が多くて、まるで京都市美術館のコレクション展を見ているかのような感覚になりましたです。

  • 呂鐵州「鳥語」
    伝統的な花鳥画のように見えますが、下の方に描かれている鳥さんがキュートで。
  • 黄水文「向日葵」
    正面を向いている巨大向日葵がインパクト大。清々しさも感じます。
  • 陳慧坤「無題」
    ワンピの女の子が清楚で可愛いです
  • 吳梅嶺「庭園一隅」
    チャイナドレスの女子を見上げる、おかっぱの女の子。ほのぼのとした可愛さがあります。上の方の枝に雀が並んでいるのは、伝統的な花鳥画を意識しているのでしょうか。
  • 陳進「アコーデオン」
    椅子に座ってアコーディオンを弾く女の子。この女の子も気品があります。解説には当時の日中関係も絡めた複雑な解釈がされていましたが、どうしても可愛いという点にしか目が行かないのよね、私。

えっとこの展覧会、女の子が可愛いだけじゃ無いはずなんですが、上の感想にはそれしか書いてない気がしますね……(汗)。



おまけ:
今回府中市美術館に行くのに、初めてちゅうばす(府中市コミュニティバス)を利用しましたが、便利ですね、これ。
今までは東府中駅から歩いて行っていたのですが、府中駅なら特急停車駅ですから新宿から乗り換えなしですし。
30分に1本の運転間隔(府中駅を毎時00分と30分に出発)ですけど、待ち時間があっても府中駅の中に喫茶店や本屋さんもあるので時間つぶしも万全ですし。しかも運賃は100円。今まで使わなかったのが勿体ないです。