東博で開催されている、「みちのくの仏像」展を見てきました。
現在東博は平成館のリニューアル工事中(一番新しい建物である平成館も、既に築16年なので、メンテナンスのお年頃なのです)ですので、本館の特別5室での開催となります。まぁ、正直なところ仏像の展示には特別5室が良く合いますわ。
以下、感想を書き散らします。
- 聖観音菩薩立像[岩手・天台寺]
- 衣の部分にノミの跡が目立ちます。鉈彫りといわれるノミの跡が目立つ形式は平安時代、東日本での特徴らしいと、昔、一木の仏像展を東博でやった時に聞いた気がします*1。そんなノミの跡が残る衣の部分とは対照的に、お顔など肌の部分はすべすべなのが面白いです。
- 薬師如来坐像[宮城・双林寺]
- けやきの大木から作られた仏様。虫食いで表面が荒れていますが、お顔は綺麗です。左手は地震で持国天を支えたので修復したそうですが、左手の部分に虫食いが少ないのはその修復のためなのかしら?
- 二天立像(持国天・増長天) [宮城・双林寺]
- その、薬師如来坐像の両脇に脇侍としていらっしゃる方。なんか踏まれている邪鬼が可愛いです。
- 薬師如来坐像および両脇侍立像[福島・勝常寺]
- この薬師如来さまは螺髪が立派です。そして脇侍の日光・月光菩薩さまは、顔が可愛いかなと。
- 薬師如来坐像[岩手・黒石寺
- 862年に作られた、多分、貞観地震も知っている方です。。顎が出ていて厳しい顔なのが、平安時代の仏像には珍しいです。
- 聖観音菩薩立像[秋田・小沼神社]
- 秋田だからなのか、この仏像、雪国の子供の顔のように見えます。もちろん色を塗っているわけではないのですが、色を塗っていたら頬は赤いのだろうなと。
- 伝吉祥天立像[岩手・成島毘沙門堂]
- 頭に象さんが2頭も載っていて、重くないのかしら?(汗)。それはともかく、木目が鮮やかなのが素敵です。
- 十二神将立像(丑神・寅神・卯神・酉神 [山形・本山慈恩寺]
- この動きのある感じは、見るからに慶派だねぇ。
- 十一面観音菩薩立像(宮城・給分浜観音堂)
- とにかく巨大な仏像です。牡鹿半島の高台にあるお堂に普段はいらっしゃるそうなので、実はこれは灯台で、目からビームが出るのではないか、などと妙な想像をしてしまいました……。
- 円空:地蔵菩薩立像[青森・西福寺]、釈迦如来立像[青森・常楽寺]、十一面観音菩薩立像[秋田・龍泉寺]
- 最後に円空仏が3体、並んでいました。丸太を縦に半分にして彫ったような感じは見受けられますが、荒々しく大胆に彫る感じではなくてとても丁寧。なので円空仏のもう一つの特徴である、顔の微笑みがとても印象的です。
東北というと素朴というイメージがありますが、こと仏像については近畿や鎌倉に負けない先端性を持っているなというのが全体を通しての感想です。平安時代に仏都平泉を擁していただけあります。
ぜひ、これらの仏像を実際に現地で見てみたいですね。
*1:というか、2006年のその展覧会にも、この仏像は出典されてたみたいです