月猫ツーリスト

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

ボルドー展@国立西洋美術館

なんとなくテンションが上がらない日というのも時にはあるもので、旅に出たいという気持ちと、お財布を考えたら今日は旅に出るべきじゃ無いという気持ちがぶつかり合って、なんとなくメランコリー。そんな気持ちのまま西美のボルドー展に入ったのは、旅に出ないならせめてフランスに行った気になろうと言うことだったのかもしれません(なんのこっちゃ)。
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そんなボルドー展は会場に入るとすぐに下の階に降りる斬新な構成で、その下の階で最初に目にするのは石器時代の考古遺跡なのでした。そういえば、ボルドーは動物壁画で有名なラスコーからも近いのでした。

この考古のところで注目したのは、磨製石器を作るために使った削器。これが水晶で出来ていて、石器よりもこれのほうが綺麗じゃないかとも思うのですが、隣にある磨製石斧もつるっつるで綺麗でしたわ。もしかして、水晶で磨くというのは、水晶の美しさを別の石に移す行為とか思われてたんじゃないかしら?


続けてあったのはローマ帝国時代の石像など。ユリウス・カエサルが頑張ったせいでこの辺りは皇帝属州のガリア・アクィタニアの範囲だったはずです。
このコーナーでは「少女の墓碑」として展示されていた石像が中々愛らしかった。(おかっぱの?)少女が犬を抱いているのですが、その犬のしっぽを鳥が首を伸ばしてかじってるんです。こういう愛らしい表現は、キリスト教化する前のローマらしくて良いです。

「イシス=フォルトゥーナの小像」という銅の女神像は、S字の立ち姿が浮世絵的でした。確かにS字のプロポーションは優美です。


こんな感じで下の階の古代彫刻に気をよくして上の階に上がると……そこは18世紀で。ちょっと時代飛びすぎです!(汗)。

このフロアは今回の展示の中心的なところのようで、一番大きな区画を取ってあります。ボルドーは18世紀のころに大西洋航路の交易の中心として栄えたらしく、富のあるところには美術品もありまして……という話のようです。

アドルフ・ウルリク・ヴェルトミュラーの「エミリー・ネラクの肖像」は、女性をディアナになぞらえて弓を持った姿で描いています。女性を描いた肖像画は基本的に好きなのですが、ちょっとこの方は男っぽい感じに仕上がってましたな。

ピエール・ラクール(父)の「ボルドーの港と河岸の眺め(シャルトロン河岸とバカラン河岸)」という巨大な絵は、沢山の船で大賑わいのボルドーの港を描いたもの。明治時代の横浜に匹敵するような繁盛っぷりです。

そのほかにも、当時の家具や白磁なども展示されていて。白磁の皿は純度の高い白なのが素晴らしいのですが、模様などが控えめなのが好印象です。


そして19世紀に入って……
「玉座の聖母子と聖ヒエロニムス、聖アウグスティヌス」は、いきなり19世紀じゃないし(汗)。何でもナポレオンがイタリアから連れて帰って来たものだそうで、作品自体は16世紀初頭のものです。視線が自然と中央の聖母子に行くようになっているのが、技術的な良さと思います。

ローザ・ボヌールの「馬の頭部」。このかたは女性の動物画家で、動物をリアルに描くことに定評があったそうです。確かにこの馬の頭部も、馬の息づかいが感じられそうです。



とまぁ、気になった作品の感想を書くとこんな感じなのですが、下の階にあった古代彫刻で鼻息が荒くなったせいか、近代以降の作品は印象に残るものが多くなかったなぁと感じました。
個人的には、もうちょっと歴史資料などを混ぜて都市文化史に関する展示にした方が良かったんじゃないかなぁとも思うのですが、どうなんだろう……。