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月猫ツーリスト

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

絵の音を聴く@根津美術館

根津美術館のコレクション展「絵の音を聴く」、会期が9月6日までと終了が迫ってきてましたので、大慌てで行ってきました。
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この展覧会、そもそもキービジュアルからして鈴木其一さんですので自分が好きそうな感じが漂ってきていたのですが、会期が迫ってきたものを優先して見に行っているうちに、いつの間にかこれの会期末が迫ってしまったという……。なんとか抜け出したい負の連鎖です……。


さて、今回の展示のテーマは音。といっても絵画ですので音そのものは出ていません。ですが、絵を見ていると音を感じることの出来る作品を、その音の発生源別に章立てして展示するような趣向でした。

鳥たちの楽園

まずは、鳥の鳴き声を感じる作品、という章です。

楊月「花鳥図」(01)
ヒヨドリの頭の毛が突っ立てるのがかわいいです。なんかヒヨドリさんの表情が良くて、声も良さそうですわ。
式部輝忠「花鳥図」(02)
子供の雀が4羽餌を待っているところに帰ってきた親の雀、という感じ。小雀の合唱が聞こえます。
狩野探幽「波に燕図」(06)
ツバメが絡みながら海に落ちているところに見えますが、複数のツバメなのか、1羽のツバメの連続写真なのか、どっちにも取ることが出来ます。この絵で聞こえてくるのは波音でしょうか。
伝狩野元信「四季花鳥図屏風」(07)
鳥いっぱいの四季花鳥図。後の手本になったんじゃないかと思うほどに基本パターンの構図がいっぱいです。こういう鳥の楽園っぽいの、好きだわ。

鳴く虫と吠える獣

続けては虫の音に獣の声ということですが……

鈴木其一「夏秋渓流図屏風」(09)
この絵で聞こえる音は水の流れる音のような……。何しろこの絵はまず始めにヤマユリ、そして流れる水という順に目に入ってきますからね。章題にある虫や獣とは何が関係するのだろうと思いましたが、蝉が幹に止まっているのですね。これは指摘されないと気づきません。
絵の雰囲気は、絵が全体的に極彩色なこともあって1/4000秒で撮影したように感じられて、水も何も止まっている感じに見えるのが面白いところ。
雪村「龍虎図屏風」(10)
竜も虎もかわいいわね。竜は髭がおもしろいし、虎は猫背だし。なんとなく、どちらも鳴き声は甲高いのではないかと邪推してみたり。

妙なる調べ

ここは雅楽や神社仏閣での祭事のような音を集めた章になります。

住吉広定「舟遊図」(13)
平安貴族の川遊びを描いたもの。川の青色に緑が入っている、その色が神秘的な感じで良いです。

名所の賑わい

続けて町中の喧噪をテーマに、といっても、展示されていたのは1点だけでしたが

近江伊勢名所図屏風(21)
左が近江、右が伊勢。左隻の方は瀬田の唐橋膳所の城、それから三井寺は判りました。右隻は鈴鹿峠から神宮まで。端っこに二見浦も。

音を聴く人々

最後に、音を聴いている人を描いた作品が登場します。

式部輝忠「観瀑図」(24)
滝を見る仙人を描いたものですが、ちょうど裏見滝の構図になってますね。なんとも涼やか。
狩野山雪「藤原惺窩閑居図」(26)
京博で開かれた山楽・山雪展でも展示されていた作品です。土の塀がリズミカルだったり建物の縦線がかっちりしている、丁寧な描き方に目が行きます。音?、あ、松が風に揺れる音が、そういえば聞こえますね。


と、音をテーマにしつつも様々な作品が柔軟に登場していて面白かったです。根津美術館の場合、こんな感じで様々な時代の作品を取り上げる展示をする方が面白いことが多い気がします、個人的に。