月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

今年の美術を振り返って

今年は後半にすっかり駄文ブログが書けなくなってしまい、展覧会の感想なども書けてない状況でして。
なのでせめて、年末に展覧会の振り返りだけでもやっておこうと思います。

とはいえ、今までなら展覧会の振り返りは駄文ブログに月末に書いていた、その月の展覧会振り返りを確認すれば良かったのですが、今年はそれすらないわけで……。なので、すっかりブログに代わって月猫ライフログを担当するようになったtwitter(正確にはtwilog)を「美術館」「博物館」「記念館」「文化館」で検索した結果を眺めて、目についた展覧会についてコメントしてみようと……。網羅性には欠けますね。
twilog.org


そんな、目についた展覧会を1月からあげてみます。

岩佐又兵衛と源氏絵@出光美術館(1月)

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出光美術館であった岩佐さんの展覧会。岩佐さんと源氏物語という好物2つが並べば、そりゃ見に行かないわけにはいきません。
岩佐さんと住吉派を比較してという展示構成も良かったですが、それよりも源氏物語を描いた絵は、これは何の場面というのを考えながら見るのが楽しいのですよ。
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国立新美術館 開館10周年記念ウィーク(1月)

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国立新美術館って、出来てからもう10年も経つのですね。
出来た当初は国立公募展展示場とか国立レンタルギャラリーとか言われていましたが、巨大な展示スペースが出来たことで展示スペースに余力が出来て、その結果都内全体で大型企画展が増えたような気もします。

そんな10年間の歩みを紹介する展示もありましたが、何といっても中央のインスタレーションがインパクト大でしたよ。
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永青文庫 日本画の名品@名古屋市美術館(2月)

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永青文庫の展覧会は割と頻繁に開かれているイメージですが、この名古屋では近代日本画と白隠仙厓に絞っていたのが特徴でして、絞っていた分、近代日本画をたくさん見ることができて非常にお得でした。
とにもかくにも春草の黒猫さんは素敵ですわ。それから、大観は人物を描かなければいい作品だなと感じるものが多かったです(余計なひと言)。

草間弥生展@国立新美術館(3月)

春の国立新美術館は草間弥生展とミュシャ展を同時開催という混雑耐久テストのような状況になりました。実際、ミュシャさんが65万人、草間さんが51万人という大入りで、それをさばける施設という意味で国立新美術館の凄さを実感したのでした。
bijutsutecho.com

その2つの展覧会のうち、まずは草間弥生展。草間さんの作品を最初期から最新作まで順に見ていきましょうという内容だけならどうってことは無かったのですが、中央の部屋が撮影可能だったために、すっかりinstagram撮影会場と化してましたね。まぁ、自分も大量に撮影したのですが。
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ミュシャ展@国立新美術館(3月)

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続いてミュシャ展。自分の予想では草間さんの方が混むと思ったので草間さんを先に見たのですが、最終的にはミュシャの方が断然混雑してましたねと。
そりゃミュシャは混雑するものですけど、スラブ叙事詩でこんなに混雑するとはねぇ……。

こちらもスラブ叙事詩で撮影可能となってましたが、撮影不可のところもそれなりに混んでました。もしかすると、作品の大きさが人を引き付けるのかもしれませんね。
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というか、混雑を感じさせない作品の大きさ、というべきかも。

ファッションとアート 麗しき東西交流@横浜美術館(4月)

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4月に横浜美術館であったのは、明治以降の洋装における日本の影響についての展覧会。西洋のファッションが日本に入ってきただけでなく、日本のファッションが西洋に影響を与えたこともあるんですよというのを上手く表現できていたと思います。
ま、そんなことより明治の女の子のおよーふく、可愛くって好きですわ〜

木×仏像@大阪市立美術館(5月)

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別に×があるからって、そういう意味ではないです(って、何を言い出してる)。

この展覧会、飛鳥から始まって円空までの木造を俯瞰しようという内容でしたが、かわいい仏様が多かった気がするのは×の効果でしょうか?(おちつけ)。
東大寺の試みの大仏など、おなじみの仏様もいて、お久しぶりと声をかけながら見て行くのが楽しいのですよ。

ようこそ!横浜地図ワールドへ@横浜都市発展記念館(5月)

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この展覧会、要するに横浜市で過去に作成された地図を区ごとに展示している、と言えばそれだけなのですが、団地の都市計画図が出てきたり、新しい区が出来たときに区民に配った地図(一目で昭文社の地図です)があったりと、地図好きには見ているだけで楽しいです。

なおこの時、近くの横浜開港資料館では「横浜・地図にない場所」という向こうを張った企画をしていたりと。この両館はセットで見ると楽しいことが多いです。

異郷のモダニズム@名古屋市美術館(5月)

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名古屋市美術館であったのは「満州国」で撮影された写真の展覧会でした。満州国は今となってはタブーというか、無かったものというか、当時の様子を知る手段が限られてしまってますから、こうやって展示された事自体が滅多に無い事です。

で、その写真ですが、最初の1920年代は90年前の生活を見ることが出来る写真が並んでいまして見ていても楽しかったのですが、1930年代のバルビゾン派チックだったり重工業萌えだったりと要するに理想郷としての作られた満州が表現されていて、1940年代になると笑顔も演出に見えるようなものになるという変化があって。写真には時代も写るのだなと改めて感じました。

博物館70年のあゆみ@沖縄県立博物館(6月)

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今年は初めて沖縄に行きまして、初めて沖縄県立博物館・美術館に入ったのですが、そこで偶々やっていたのがこの展示。要するにコレクションの中でイチオシのものを集めて展示していたものです。とはいえ、あれだけ広い沖縄県の一番上に位置する博物館ですからコレクションも生半可でなく、層の厚さを感じることができました。
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あれ?思ったよりも自然史系の写真ばっかりになったぞ?

ハマっ子、三浦半島を行く@横浜歴史博物館(7月)

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港北ニュータウンの横浜歴史博物館では、幕末と弥生時代の三浦半島についての展覧会。どう考えても、その2つの時代を連続して展示するのは無理があるだろうと思いましたが、その点は流石に認識済みだったようで……。
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この展覧会では、三浦半島の(特にペリー来航の頃の)古地図が色々と見ることが出来たのが収穫でした。
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源信@奈良国立博物館(7月)

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今年は「史上最強の地獄マニュアル」こと「往生要集」に関する展覧会が多かった気がしますが、その最高峰がこの展覧会。タイトルには地獄絵とは入ってませんが、往生要集で描かれている地獄を説明するために聖衆来迎寺の六道絵を全部まとめて展示するなど、力の入れ方が半端なかったです。

といいつつ、地獄絵ってにがねなんですけどね……だって怖いやん(をぃ)

なお、話は飛びますが、奈良の鹿の暑さ対策も、夏の奈良博での見どころになってきている気がします……。
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さかざきちはるのおしごと展@市川市芳澤ガーデンギャラリー(8月)

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ちーばくんと、Suicaのペンギンの原作者、さかざきちはるさんの展覧会。とりあえず「かわいいは正義」という言葉がこれほどしっくり来る展覧会も無いのではないかと。更には第2会場の木内ギャラリーでは展示空間の良さもあって、良い雰囲気で作品を見ることが出来ました。
惜しむらくは、生きているSuicaのペンギンがいる日に行かなかったことでしょうか。
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横浜トリエンナーレ@横浜美術館、赤レンガ倉庫(8月、9月)

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3年に1度ある横浜トリエンナーレ。3年前の前回はプロデューサーさんのせいで変に難しくて分かりにくかったですが、今年は集団指導体制だったのもあってか判りにくさは減っていたように思えます。
なお、楽しさみたいなのは横浜美術館よりも赤レンガ倉庫のほうが見受けられました。どうも毎回、横浜美術館は普段の展覧会と同じノリのままトリエンナーレをやってるような感じになってしまいます。
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素心伝心@東京藝術大学大学美術館(9月)

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シルクロードの遺跡や法隆寺の金堂壁画など、火災や戦争などで破壊されてしまった文化財について、当時の様子を再現して展示しようという企画。なので展示されているのは本物とは限りませんというか本物でないほうが多いですという、ある意味歪んだ展覧会です。
その点賛否両論有りましたが、当時の様子を再現するというのは意味のあることだと思います。とはいえ、音楽とお香は過剰演出では無いのかと思いますが……。
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北斎展@あべのハルカス美術館(10月)

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今年は北斎に関する展覧会が東でも西でもあったのですが、内容が良かったのがこのあべのハルカスでやった展覧会。大英博物館でやったものの巡回展というだけあって、単純に富嶽三十六景と北斎漫画とあと数店並べてハイ終わりなんて言う一般的な北斎展とはレベルが違います。
北斎の画業を最初から最後までしっかり振り返ってますし、めったに登場することのない西洋画のような浮世絵も登場して、充実していましたわ。
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国宝展@京都国立博物館(10月、11月)

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今年一番、熱気を帯びていた展覧会といえばコレでしょう。昼間は昼間で待ち時間ができる大混雑だし、夜間開館をすれば閉館の20時近くになっても多くの作品に人垣があるという。とにかく、みなさん熱心に見ていたのが印象的でしたね。

正直なところ、今回展示されている国宝が大体見たことが有りますのでパスでも良いかも、みたいな感じで見ていたのですが、行ってみるとクリアなガラスと最新の照明で今まで見えてなかったものが見えたり、今までよりも数段良く見えたり……。いや、新しい建物と照明は素晴らしいですわ。
そんな体験をしたくて、結局3回も行ってしまったんですよね……。
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長沢芦雪展@愛知県美術館(11月)

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名古屋の芦雪展は、数年前に同じ愛知県美術館で開催した円山応挙展と同様、障壁画の露出展示がメインの構成でした。ちょうどこんな感じに
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と、模型も展示しちゃう辺りが愛知県美術館のオチャメなところ。

そんなこともあって自然と芦雪と応挙を比較してみてしまうのですが、比較してしまうと芦雪ではなく応挙の凄さが見えてきてしまう、というか、応挙って引き出しの数が多いんですよね。
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ゴッホ展@東京都美術館(12月)

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最後に、つい先週見た東京都美術館のゴッホ展。今年はジャポニスムのヨーロッパでの影響をテーマにしたような展覧会が多いのですが、これもそんなテーマで、ゴッホがジャポニスムから受けた影響と、日本がゴッホから受けた影響を取り上げていました。
対象をゴッホだけに絞ったからか、ストレートにテーマが見えてくる、良い展覧会だったと思います(どうしても、同じ時期に西美でやってる展覧会と比較してしまいますが)



あら、気がついたら20件近い展覧会を上げてますね。それだけ今年も良い展覧会が多かったということでしょうか。
とはいえ、「ミュシャ展」と「国宝展」が今年の双璧に思えます。この2つの展覧会は、写真とか見なくても展示風景とかリアルに思い出せますもん。