月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

九州国立博物館を考える(特別展編)

日曜日に高速移動で行ってきました九州国立博物館ですが,色々気になる点もありましたので,何回かに分けて書いておきたいと思います.まずは特別展について.


今回の特別展,「美の国 日本」というタイトルが付いています.このタイトルを見るとなんとなく日本の美術品を一堂に会した展覧会のように見えてしまいますが(何たって正倉院宝物まで動員しているし,宣伝文句が「歴史に彩られた国宝級の美がここに集結する」だ),展示してあるのは古墳〜奈良時代と戦国〜桃山時代とえらく片寄っていました.これは九州国立博物館が,常に外国との交流の窓口となった九州に,外国との交流と芸術の関係を説き明かす博物館を作ろう,というのが設立趣旨なので,外国との交流が盛んだった時期に焦点を当てた特別展にしたらしいのです.ま,平安〜室町と江戸時代は外国との交流は余りないですからね,でも無かった訳じゃないぞ.
そして,これが問題だと思うのですが,展示はその当時の外国人になったつもりで日本の美を見ていただくようにしているようなのです.ようなのです,というのは,そういう意図があるのが分かったのは音声ガイドの音声の中でそんな感じのことを言っていたからで,音声ガイドを聞いていない人は図録の最初の方にある解説を読まないと分かりません.つまり,会場内を見て回るだけの多くの方に,展示趣旨がちゃんと伝わったか?,疑問だと思います.そういえば,こういった特別展では各セクションごとにそのセクションの概要をパネル1枚くらいで記述するものですが,そういった文章での記述面が妙に少なかった気がします.


さて展示内容ですが,第一部と第二部に分かれてまして,第一部が古墳〜奈良時代,第二部が戦国〜桃山時代となっています.
第一部の古墳〜奈良時代は日本が初めて外国とつきあいを始めてアジアの一員となったときということで,東アジアの各国で当時作られたものと日本で見つかったものを比較していました.志賀島の金印も展示されていたそうですが,日曜日には無かったのが残念といえば残念.まぁ,福岡ドーム横の福岡市立美術館に行けばいつでも見られるものなので,悲しむほどのことではないかもしれません.
それから,高松塚古墳で見つかった副葬品の鏡とか,東大寺大仏殿前の灯籠にあった仏様の浮き彫りとか,法隆寺にある橘夫人の念持仏とか,素敵です.念持仏は厨子の側面も空けてあったので横顔をたっぷりと拝ませていただきました.横顔がチャーミングでしたが,係員には完璧に怪しまれていたような気が……(爆).


続けて第二部ですが,ここからは本気で外国人の視点で展示を見ないと何も訳りません(爆).
最初は屏風.洛中洛外図屏風が圧巻です.この建物は三十三間堂だろうかと思いならが見るのも一興です.
次の間が桃山時代の芸能で,出雲の阿国とか出てきます.
3つ目の間が武士の装束.陣羽織とか甲冑とか,なかなか飛ばしているデザインが良いです.黒田如水の甲冑が素敵でした,と言いますか,あれ着て本当に動けたのか気になります(爆).
4つ目の間が,宗教のコーナー.高台寺にあるマリア様のタペストリーがあるかと思えば烏天狗の像もあって古今東西和洋折衷何がなんだかの世界でありました.
で,最後の間が仏間,もとい肖像画のコーナーで,桃山時代の九州ゆかりの方が多数掛け軸になってました.
と,書いていても第二部は外国人のつもりで見ないと単なる統一性のない展示にしか見えないのですが,実際に見た方はどのように思ったのか,聞いて見たいところではあります.とりあえず私は,個々の物は楽しめたけど特別展全体としては楽しめなかったなぁ,と思う次第です.