月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

九州国立博物館「馬〜アジアを駆けた2000年」

昨日の駄文に続きまして、土曜に九州で行ったところの話です。

そんなわけで、太宰府から徒歩5分の九州国立博物館です。余りに暑いので人の少ないところを選んで,日影を選んで、途中で水分補給をして……と、太宰府天満宮横のエレベーターに到着するのに一苦労でした……。
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で、九博まで来て見ていた展覧会は「馬〜アジアを駆けた2000年」というもの。日中韓の馬に関する美術品を展示している展覧会のようです。
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と思ってましたら、展示の最初は哺乳類としての馬の進化について。最初の展示物がヒラコテリウムの模型……。東博と違って九州の博物館である以上、動物の進化の話は自然計の博物館でね、なんて言ってられないのでしょうね(そんなことを言ったら北九州まで行かないといけません)。

また、動物としての馬の展示としては、5世紀の馬の骨が展示されていました。古墳に埋まっていたものだそうですが、骨になってもきれいでした。

それから、壁には夏休みらしく子供にも分かりやすい絵入りの解説。これがかなり分かりやすかったです。

  • 馬に乗れるようになるための発明は、ハミと鞍と鐙
  • 特にハミは重要。ハミを付けることが出来るのは馬だけ。なぜならば、歯と歯の間に隙間があるのは草食動物の特徴だが、牛は反芻するしシマウマは気が荒い。ハミを付けさせてくれる草食動物は馬くらい。
  • 馬に乗るからズボンが誕生した(すれるから)

何てことが説明してあって、分かりやすかったです。


次のコーナーは「アジアを駆けた馬」。一番真ん中に広開土王碑文の拓本があって、その周りに碑文に出てくる各国(五胡南北朝、三燕、高句麗、韓、倭)の馬に関する考古物を展示するという趣向です。考古物ですから埴輪とか俑とかが出てくるわけですが、やはり日本のもの(馬の埴輪)は他の国のものに比べ、可愛いです。中国の南北朝時代の俑なんて、目つきが違いますから……。


そして第3章は「黄金の馬」。ここは藤ノ木古墳から出土した馬飾りを中心に、古代の馬の装飾具を大量展示しているコーナーです。解説の中に、仏像が飛鳥時代に伝来するとすぐに作ることが出来たのは、馬具職人が細かい細工をしていたから、という説明がありました。確かに、その説も有りだなと思う、細かい細工が素晴らしいです。

藤の木古墳の馬飾りにはAセットとBセットの2種類が展示されていました。うちBセットの方は水に浸かっていたのでしょうか、錆びていて如何にも壊れやすそう。今回、展示物を九州国立博物館に運ぶ間に壊れてしまったという事件がありましたが、こんなものを運べば一つくらい壊れる世なぁと納得してしまいました。
で、Aセットの方はしっかりとしていて、特に鞍の彫刻の細かさが素敵です。象さんが掘り出されていましたが、鼻が長いこともあって良くわかります。にしてもよく出来ています。これが6世紀のものなんですから、日本は昔から凄い国だったよなぁと。


最後に第4部,「神馬の誕生」。要するに神社に良くいらっしゃいます神馬に関係する美術品が展示されています。
そのなかにあった賀茂競馬図屏風。よく見ると久隅守景さん。この方の絵は少しゆるめな所があって、好みです。描かれているのは賀茂で神事として行われた競馬、ということになってますが、ゴール前で馬上レスリングをやってたりして……神事にしても荒っぽいです。


というわけで、結構色々なものを見ることが出来ました。東京と違って博物館美術館の専門化/細分化がされてないので、考古、美術,歴史、さらには博物学まで渾然一体としていて、こういう展示も良いなと思いました。でも、東京だとこういう展示をやってくれる博物館美術館は、無さそうな気がするなぁ……。