昨日に引き続き、鉄道博物館のお話です。
御料車というのは天皇陛下が鉄道で移動される際にご利用になる専用の客車のことです。昭和帝の御代の後半以降は鉄道が客車から電車や気動車に主力が移り、また鉄道以外の飛行機や自動車を使うことも増えたので使われることもなくなり、ついに電車で作り直されてしまいましたが、それまでの時期は天皇陛下にとっては重要な交通手段だったものです。
で、鉄道博物館には歴代の御料車が静態保存されているのですが、今回は御料車の内部や歴史についての特別展が開催されていました。宣伝文句は「10月9日、鉄道博物館は美術館になります」。なんか東博の立場がない宣伝文句です(汗)
展覧会の方は、御料車の各車両の歴史や、実際に明治、大正、昭和の各帝が御料車をご利用になられた区間の説明があり、その後に御料車室内の実測再現模型が有ったりします。そこまではいかにも鉄道博物館という感じの展示ですが、そこから先が違いました。
この先のコーナーでは、御料車の内装について、パーツ単位で見ていこうという趣向。引き戸に施された螺鈿細工が何とも緻密で目を奪われるところからスタートです。
天井画などは取り外せませんし、廃車と同時に失われたものもあって原画の展示となっていますが、描いたのは川端玉章に橋本雅邦、って、ええっという方々。そういう天井画はちゃんと残しておかなきゃ……。
んで、窓枠の木彫りは高村光雲と。もう明治期の帝国技芸員が全員集合で車両の内装をしていたというのが判ります。明治政府、やることが半端ではありません。
特別展で勉強したところで、改めて展示されている御料車を見てみると、ガラス越しで判りにくいですが、確かに内装や装飾に贅を尽くしているのが判ります。
と、こんな感じで見終わりました。鉄道博物館の特別展は余り期待をしていなかったのですが、やれば出来るじゃないの鉄道博物館(汗)。思ったよりも、面白かったし、明治の芸術家総出演に感銘しました。こんな感じの展覧会を、是非今後もやって欲しいものです。