やっと4月までの桜狂想曲が終わりまして(いや、例年なら北の大地で延長戦なんですが、今年は私、まだ大宮が北限なので)、藤や菖蒲といった紫の花がいろいろと出てくる季節になりました。ということで、毎年恒例根津美術館の燕子花図屏風の季節到来です。
今年は本来はボストン美術館から同じ尾形光琳の八橋図屏風をお迎えして、燕子花図屏風との競演を行うはずでしたが、先般の大震災の影響で来年に持ち越し。ですが、替わりに根津美術館の名品のうち、伊勢物語や和歌に関係する作品を並び立てての展覧会となってました。これはこれで賑やかです。
まず、展示室1の前半は、吉野竜田図屏風がメイン。吉野龍田図屏風、感じるのは力です。六曲の屏風面が狭いといわんばかりに桜も紅葉も重ねられていて。特に桜を描いた方は花びらが盛り上がっていますから、なおさら力を感じます。
そして後半は本日のメインディッシュ、国宝燕子花図屏風です。作者の尾形光琳については「琳派の関係者の中で6番目に好き*1」などという暴言を普段から奉っておりますが、流石にこれだけの大画面に燕子花だけという構図は斬新ですね。これを江戸時代にやるんだから、確かにただ者ではありません。
でも、そう思いつつも、やっぱり燕子花を描くなら八橋は必須だろと思ってしまうわけで……。
ちなみに燕子花図屏風はリバOK(マテ)で、左右入れ替え可能ですね。ただ、入れ替えると構図として詰まらなさすぎる気が……。
あと、八条宮智仁親王が書かれた百人一首帖というのがありました。八条宮智仁親王は桃山時代最高の知識人。この方に光源氏を重ね合わせると、どんな感じになるかしらなどと、妙なことを考えたりします。
妙なことを考えたせいか、隣の展示室2は源氏物語と伊勢物語の部屋になってました。もう好物過ぎます。特に土佐光起の筆と伝えられる源氏物語画帖が可憐で素敵。是非、複製をグッズとして売ってくれないかしら……。
さて燕子花図屏風の展示は、屋外にも続きます。庭園の燕子花、まさに満開です。
丁度雨が降ったり八ダリという天候も、燕子花に良く合います。
そして、燕子花意外にも咲いていた、ツツジに藤。こちらも良い感じです。
これからの季節、日本中出かける先々で藤の花が山肌に咲いていて、楽しい季節になりますね。
それにしても根津美術館、展示と庭園の組み合わせで、毎回外さないのがお見事です。次の展覧会は5月末から伊万里・柿右衛門・鍋島だそうですが、これも鍋島ファンとしては期待して良さそうです。