もう何回か書いたことだと思いますので、ご存じの方も多いかもしれませんが、私は浮世絵、特に人物を描いた浮世絵があまり得意ではありません。
なので、写楽展も当初は無視をしようかとも思っていたのですが、
- 写楽の浮世絵版画を、行方不明と先約のあった1点を除き、全種類展示されている
- 写楽の浮世絵版画を、第1期から第4期まで、ちゃんと区別して展示している
- 同時代の他の作者の浮世絵と比較するコーナーがある
- 大地震があったにもかかわらず、ギメ美術館など欧米の美術館が貸し出すことをためらっていない。
貸し出しを取りやめた美術館がほとんど無かったというのは、それだけ東博が信用されていると言うこともあるし、それだけこの展覧会の意義を各美術館が感じているというのもあるのでしょう。ということで、そんな世界の美術館が意義を認めている展覧会、行ってきました。
というか、何か東博も気合い入れすぎです……。
展示の方は、前半は写楽以前の浮世絵や、同時代の役者絵との比較、んで後半は写楽の木版画を時代順に一挙公開、という趣向。やはり面白いのは前半の、同時代の木版画との比較の所。とくに、喜多川歌麿の美人画はねぇ。フランスのギメ美術館からやって来た作品は発色も良くて見応え充分。しかも「歌撰恋之部 物思恋」は物思いにふける女性の姿も良くて……初めて浮世絵の女性が可愛いと思ったかも(をぃ)。
と、写楽展なのに歌麿に感動してしまいましたが、写楽も全部纏めてみると壮観です。特に、第1期の28枚は、動きのある手の感じ(でもデフォルメされている)が見ていて飽きません。あと、個人の方がお持ちの作品の中に、発色が凄く良いものが有って、江戸時代の人はこんな色を見ていたのか、なら買うよね、などと感心したり。
こんな機会は数十年の単位でないと思いますので、行って損はありません。12日までですので、まだの方はお早めに。