三井記念美術館の「日本美術にみる橋ものがたり」に行ってきました。何でも、今の日本橋が架橋されてから今年は100年だそうで、それにあわせての開催だそうです。
橋というのは、こちらの岸(此岸)とあちらの岸(彼岸)を繋ぐもの。転じて、あの世とこの世を繋ぐものの意味も持ちます。なわけで、昔から歌などにも橋が登場します。源氏物語宇治十帖での宇治橋も、宇治をあの世というか浄土空間と見る辺りから登場するのでしょう。あ、だから平等院は浄土空間の宇治にあるのか。
そんなわけで、この展覧会、最初は文学に登場する橋から。宇治橋、住吉の太鼓橋、瀬田の唐橋、三河の八橋といった橋が、器や蒔絵、屏風といったものに描かれています。宇治橋では、琳派お得意の柳橋水車図屏風が左隻だけ出てました左隻だけでも柳と水車が両方とも描かれているので、充分鑑賞できます(後期は右隻だけになるので水車無しだそうですが……)。あと、住吉の太鼓橋は、ここぞとばかりに太鼓にしてますね、みなさん……。
また21日迄ですが、雪舟の天橋立図も出てました。去年、岡山県立美術館で見て以来の再開です。天橋立が地上と天上を結ぶ橋が倒れて出来た伝説から展示されたようです。あの遠近感と細かさは、500年前の作品とかそういうこと忘れてしまう強さがあります。
後半は諸国の橋、京の橋、江戸の橋と続く、江戸時代に描かれた橋の話題。北斉さんの浮世絵は何時もながら誇張表現が楽しいです。あと、鳥瞰図的に描かれた図を見ると、江戸も大阪も同じくらい橋が多いです。隅田川がある分、江戸の方が長い橋ふぁ多いように思えましたが。
それにしても、全体を通してみると作品多数、展示替え多数で詰め込み過ぎな気がします。前半の神仏の橋・文学の橋、と、後半の諸国の橋・京都江戸の橋を分けて、2回の展覧会にしたほうがすっきりしたのでは?。柳橋水車図屏風が左隻だけとか、乗輿舟も橋が描かれている場面だけとかというのを見ると、もっとちゃんと全体をみたいなぁと、思ってしまうん、ですよね……