月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

日本画どうぶつえん記念講演会

昨日に続いて、山種美術館の「日本画どうぶつえん」の話題です。

私が山種美術館に行ったのは31日の日曜日でしたが、この日は記念の講演会もありました。
今回の講演会は、どうぶつえんにちなんで、動物の専門家に絵画を語っていただこうという企画。講師は上野動物園園長の小山さんでした。ちなみに小山園長、園長なのは7月まで、つまり講演の日が園長最後の日だったそうで。そんな日に講演に来てくださる、よい先生です。


講演の内容は、絵画のスライドを表示しながら、描かれている動物の種類や生態、ちゃんと観察して描かれている証拠、飼育の苦労などを語っていく、ノンストップの1時間半でした。

では以下に、メモした内容を適当に書き散らしてみたいと思います。

上野動物園について

  • 上野動物園は今年130年目。
  • 開園した頃は1ha、今は14haある。
  • 最初は博物館(今の東博)の一部門。飼育係は3人だった
  • 園長に当たる人は、標本の絵を描いたりする絵描きさんだった

ウサギ

  • 目が赤いのはカイウサギ。江戸時代にもいた。
  • カイウサギが日本に入ってきたのは16世紀、出島のオランダ人から
  • 白い兎は、江戸時代にオランダから入ってきたウサギに、アメリカの白い品種を掛け合わせた(日本白色種)。防寒用の毛糸や食用のために改良したもの。
  • (奥村十牛「兎(昭和11年のほう)」)この兎はアンゴラウサギ。3頭で年1kgの毛がとれる。農家の副業で飼っていた。
  • (奥村十牛「兎(N昭和22年頃のほう)」)チンチラ。これは毛皮をとるためのウサギ。
  • 16世紀までは、鳥獣戯画に描かれているような野ウサギしか居ない。
  • カイウサギの祖先はアナウサギ。なのでほっておくと穴を掘り出す。野ウサギは掘らない。

ウマ

  • (橋本関雪「霜の朝」)見るからに、日本の在来種
  • 日本のウマは8万頭。半数はサラブレッド
  • 在来種が減っている。北海道に1000頭、他は30〜100頭程度ずつ。

−西洋のウマと比較すると小さく軍馬に適さないため、人為的に減らした。

ウシ

  • (小林古径「牛」)今日本にいる牛はホルスタインと黒毛和牛ばかりだけど、これは日本古来の牛。
  • 和牛は、日本古来の小さな牛に、西洋の体格のよい牛を掛け合わせたもの。
  • 日本古来の牛は、人のおへそくらいまでの高さしかない
  • 見島牛という日本古来の牛(山口県萩のあたり)は、島を出すと食用にすることができる。
  • 家畜の品種を残すためには、お金になるようにすることが大事(でないと、育てない)。

ヒツジ

  • コリデール種はニュージーランドの品種。
  • ヒツジは元々乾燥地帯のものなので、あまり育たない、コリデール種だけが育った。

サル

  • 川合玉堂さんはサルを飼っていた
  • (松尾敏男「手長猿」)時期的に、上野動物園にいた2頭の手長猿を描いたと思われる

ホッキョクグマ

  • 明治35年に上野にやってきた
  • (西村五雲「白熊」)時期的に上野のホッキョクグマを描いたのかと思ったら、この絵は京都の動物園にいたものを描いている
  • ホッキョクグマがシロクマという名前にならなかったのは、ホッキョクグマがやってきた頃に、上野にツキノワグマアルビノがいて、シロクマと呼ばれていたから?

クジャク

フクロウ

  • (横山大観「木兎」)足の指が、前2、後ろ2になっている。ちゃんと観察して描かれている。

コサギ

  • 自宅に鳥を沢山飼っている上村さん親子。上野でもよく鳥をもらっている。

ニシキゴイ

  • ヨーロッパではフナを食用になるように大きく、鱗ははがれやすいようにという品種改良が行われたが、日本では美的品種改良が行われた。


他にもおもしろい話があったのですが、面白すぎてメモがちゃんととれてません……。
異文化コミュニケーションではないですが、絵の専門でない人の絵の話、とても良かったです。今後も、こういう機会があったら参加したいもんです。はい。