月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

文化勲章受章作家の共演@ホテルオークラ

毎年夏の時期に、大倉集古館の隣にあるホテルオークラ*1では、チャリティのための展覧会を開催しています。去年は平山郁夫さんの回顧展をやっていましたが、今年は文化勲章を受章した画家の作品を色々なところから借りて集めてしまおうという企画です。何しろ縛りが「文化勲章を受章した画家であること」しか無いので、いろんな人の作品が出てきます。

こういうテーマが薄くて焦点の絞りにくい展覧会のときは、勝手にベストテンを決めることにしています。要するに、お気に入りの作品を10個選ぶだけですが、10に達しなければ10になるまで補欠合格を選ばないといけませんし、10を超えたときは10になるまで決勝戦をしないといけないので、結果として作品をよく見るだろう、という算段です。なんて考えていると、きっかり10作品を選んでしまって、それでお終い、ということもあるのですが……(こういうことでもしないと、真剣に見ないのは問題ではないかと……)


ということで、今回の個人的ベスト10作品です。

東山魁夷「萬緑新」
深緑の色がね、東山魁夷さんですよね。それと湖に映り込む木々とか、長野に行きたくなります(いや、この景色が長野というわけではないのですが、何となく)。
奥村十牛「吉野懐古」
吉野って、確かにこんな感じ。湿気を感じる空間です。そんな湿気まで含めて明るい色彩の中に表現している気がします。
池田遙邨「山雪来る」
えっと、タヌキ?、クマ?。中央の親子のクマが可愛いのです。
上村松篁「夕至れ」
この方、鳥を描くときは常に本気。自宅には上野動物園ももらい受けるほど、鳥がいたとか。
山本丘人「地上風韻」
藤棚の下に女性が一人。ここから何が始まるのかとつい見入ってしまう感じの絵です。以前、京都高島屋で回顧展をやっていた際、パンフレットにこの作品が載っていましたが、それ以来気になって、やっと出会えた作品です。
竹内栖鳳「涼蔭」
猿さん、写実的なのに愛嬌があるのよね。さすが栖鳳さん。
奥田元宋「妙義湖秋耀」
湖に紅葉が映る秋の夕暮れ。これが妙義湖で見られるのか。見に行きたいです。
平山郁夫「想一想」
沙羅双樹の下の仏陀さま。平山郁夫さんは岩絵の具のきらめきが好きなんだよなと、この作品を見て認識を強めたところ。
岡鹿之助「沼のほとり」
出ました、岡鹿之助さんの平面画っ。この遠近感のなさと、丁寧な薄塗りが、どう見てもキャンバスを使った日本画に見えますが、なんか好きです。
小磯良平「集い」
小磯さんのお洋服はフランス人形譲り。光沢感が素敵だなと。この絵については男の子が描かれてなければ、もっと妄想を爆発させることができたのになと……(え?)


いかんいかん、まともに感想を書こうと思ったのに、最後は腐った方向に話が進んでしまったわ。
それはともかく、これだけ多種多様な方の作品を集めると、見飽きるということが無くて楽しめましたです。

*1:いや、ホテルオークラの敷地に大倉集古館があるのか