月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

世紀末、美のかたち@府中市美術館

3連休の真ん中の日、ということは土曜日ですね、に、府中市美術館の「世紀末、美のかたち」を見てきました。
世紀末といわれる時期はいくつもありますが、芸術の世界では基本的に19世紀末を指します。ちょうどパリでは万博とアール・ヌーボーの時期です。
この展覧会は、そんな19世紀末の絵画と工芸を並べてみてしまおうというものでした。


そんなわけで展示はアルフォンス・ミュシャからスタート。百合を擬人化した女性が可愛らしいので一気に引き込まれます。

ルネ・ラリックのブローチは羽のあるニンフ。羽のところの細かな細工が、やっぱり見ていて飽きないというか、ずっと見てしまいます。

それから、ルネ・ラリックの、シレーヌをテーマにした一連のガラスの器たち。頭の中で「冷たい水の中をきみと歩いて行く」をテーマ曲として流しながら見ていました。水の中に消えゆく女性というモチーフは、好きですわ。

エミール・ガレの作るガラスたちは、昆虫や海馬がモチーフ。当時の人がどう思ったか判らないけど、今の視点から見ると、きちっとした形よりも、何か怪しいもののほうに良さを感じてしまうのです。明かりを入れて、怪しく影が出来るところが、愛おしくなる気がします。

最後のほうに、ドニの愛についての版画の連作がありました。そっか,ドニもこの頃なんだ。ここまでアール・ヌーボーのゆがんだ形のものばかり見ていたので、ドニの絵が凄く整っているもののように見えました。でも、水彩なのもあって、明るくて良いわ、これ。


という感じで、何か好物ばかり並んでいる感じの展覧会でした。ただ好物過ぎて、80展では物足りなく感じてしまったのは……、罰当たり、かもしれませんね。