今日は、太田記念美術館で開催されている、「鴻池コレクション 扇の美」展に行って来ました。
この鴻池コレクションの扇の展覧会、2010年に大阪市立美術館でも展覧会があって、行きたかったのに行けなかったもの。なので、東京に巡回してきてくれて良かったと思ったのです……まさか、鴻池コレクションの扇が太田記念美術館の所蔵品だとは思いませんでしたが(汗)。
ということで、巡回展かと勝手に勘違いしていたが実は収蔵品展な扇コレクション、見て行きましょう。
展示の方は、「江戸琳派」「浮世絵」「英派」「狩野派・土佐派」「文人画」「丸山・四条派」「その他」に分かれていて、それぞれのグループに属する画家が描いた扇がひたすら登場します。それぞれのグループからは
- 江戸琳派 ……俵屋宗理、酒井抱一、鈴木其一、鈴木守一
- 浮世絵 ……歌川国貞、葛飾北斎
- 英派 ……英一珪
- 狩野派・土佐派……住吉広尚、冷泉為恭
- 文人画 ……谷文一
- 丸山・四条派 ……円山応挙、長沢芦雪、呉春
- その他 ……山東京伝、河鍋暁斎、司馬江漢
などといった人が出てまして、もう江戸時代の主な絵師を一同に集めたような状況になっていました。
また注目は、登場するのが「扇」であって、扇から絵だけを剥がして掛け軸などにした「扇絵」ではないこと。なので、扇の凹凸というか折り目を意識して描いていることがよくわかります。例えば浮世絵で二人の人が向きあうような図の時は、左の人の顔は山折の右側斜面、右の人の顔は山折の左側斜面にきているので、扇の開き方で、顔が近づいたり離れたりします。計算された構図が面白いです。
個々の作品は、琳派は琳派らしいし、芦雪は吹っ飛んだ時の芦雪だし、暁斎はやっぱり暁斎だし。扇という狭い空間でも画風は変わらないということで。そういう意味でも、江戸絵画をひと通り通しで見るのに適した展覧会だなと。
少しだけ趣が違っていたのが浮世絵で、版画ではなく肉筆画のせいなのか、それとも画面が横長のせいなのか、人物以外の描写が細かったです。国貞の絵で、萩の花が細かく描かれているのを見て、浮世絵師もやれば出来るんじゃないかと思ったり(失礼)。
個人的な一押しは、やはり琳派の作品たち。鈴木其一さんの描く彼岸桜は、枝垂れている枝といい、咲いているピンク色といい、上品そのものでした。これ、欲しいです(いやだから太田記念美術館の収蔵品だから買えませんってば)。
ということで、江戸時代の絵画をざっと見ることができて、しかも扇の立体を生かした技も見ることができる、お得な展覧会でございました。
今月26日までですので、興味のある方は、是非。
追伸:
この展覧会の図録は太田記念美術館としては作ってなくて、代わりに2010年の時の大阪市立美術館で作ったものがあったので買って来ました。出品点数は3倍だし、伊藤若冲の鶏もいたようだし、大阪で見なかったのは失敗だったようです……。