2日前から連続して駄文に書いている北京故宮博物院200選、今日はその3日目、最終日です。
今日取り上げるのは最後の部屋、第4室。この部屋では今までとはガラっと変わって清朝の皇帝に焦点を当てた展示になってました。確かに故宮は、故宮と呼ばれる前は清朝の皇帝のお住まいですからね。
第4室の展示は大きく4章に分かれていましたので、それぞれの章ごとに振り返ってみようと思います。
第1章 清朝の礼制文化−悠久の伝統−
最初の章は、清朝皇帝の公の姿。民を視察し、民を導き、大忙しな皇帝の姿がそこにはありました。徳で治める皇帝というのも楽な稼業では無いようで。
- 康熙帝南巡図巻
- 圧巻は長大な巻物、康熙帝南巡図巻。第4室の横幅いっぱいに使って2巻の巻物をノーカットで展示していました。皇帝が南方の視察旅行に行った際の記録ですけど、海越え山超え街中を通って、まるで清明上河図の清代バージョンという感じ。絵の細かさも清明上河図譲りです。この巻物は是非複製を入手したいところですが、ミュージアムショップにはなかったような……。
- 乾隆帝像
- 若いです、ハンサムです、人がよさそうです乾隆帝。そんな帝の容姿もさることながら、注目は服の光沢や絨毯のフワフワした感じ。これは写実絵画ですよ、素敵です。
- 蜻蛉文宝石飾簪
- 要するに髪飾りですが、虫がリアルに表されていて、ラリックもかくや、という感じ。結構中国は写実性が好まれていたのかなと、思います。
- 雍正帝耕織図画冊・雍正帝行楽図像冊
- 帝のコスプレ写真集(写真じゃなくて絵画だけど)。農民になったり文人になったり周辺民族の衣装を着たりと大忙しです。帝は民のそばにいるという事なんでしょうけど、そういう文脈を抜いてみると、コスプレ好きに見えるから楽しいです。
第2章 清朝の文化事業−伝統の継承と再編−
このコーナーは文化事業となってますけど、主に乾隆帝の骨董趣味について、という感じで、絵に描かれているのと同じ机や骨董品を並べたりしていました。皇帝の持ち物となると、青銅器なども一味違いますね。
第3章 清朝の宗教−チベット仏教がつなぐ世界−
皇帝の宗教はチベット仏教だったということで、チベット仏教の仏像などがやってきてました。どうも私の感覚だと、こんなバタ臭い仏様は辛いなと思ってしまいますが、そういうものですから仕方有りません。
それにしてもチベット仏教は、元と清という中国人ではない王朝でどちらもメインの宗教だったというのは、なんか偶然ではない力を感じます。
第4 章 清朝の国際交流―周辺国との交流―
最後の章は、清朝と外国とのお付き合い。もちろん、中国皇帝が外国に行くわけがなく(行くときは当然征服です。それが中華というもの)、外国の使節が皇帝に会いに来るわけです。
- 万国来朝図軸
- そんな、外交使節と新年に帝が席巻する様子を描いた絵がこれ。建物の外にいる外交団の出身地が旗に書かれていますが、イギリスと琉球とか、色々います。雪の中という場面が新春らしいです。というか、北京の冬は普通に雪がふるのかしら?。あと、絵の奥行き感が良かったです。
- 乾隆帝大閲像軸
- ハンサムな乾隆帝が馬に乗った姿。馬に乗った姿を描く事自体がヨーロッパ的かと。ただ、この馬は背の高くない農耕馬のように見えます。あれだけの広い領土なら、天馬も領内にいたでしょうに。
ということで、北京故宮博物院200選、やっと全感想を書くことが出来ました。
今回まだ図録を買っていないのですが、それでもメモを見ていると作品をちゃんと映像として思い出すことができる、それだけインパクトの強い作品が多かったということでしょう。
いや本当に、中国美術は苦手でって、言えなくなってしまいましたよ。というか、中国美術も日本美術も含めて、East Asiaの美術は楽しいですね、って、今度から言いそうです。
この展覧会は今度の日曜日までですけど、もう一度、行けるかしら……。
展覧会メモ
名称:北京故宮博物院200選
場所:東京国立博物館
会期:2012/01/02(月)-2012/02/19(日) [9時30分〜17時、月曜休]
料金:1500円