どうも最近、美術館方面では「書」が人気のようで、東博は書道美術館と連携して良く特集展示を行ってますし、この夏休みは東博、出光、五島の各美術館が(打合せも無しに)同時期に書の展覧会をぶつけてくるとか。とは言っても、書ってよく解らないし、行くと偉い先生の回りにいる取り巻きがうるさくて……(ものすごい偏見)。
とか何とか言いながら、出光美術館でやっている展覧会はひと通り行ってますので、今回も行ってきた次第です。
そんな訳で、書はわからないから勢い料紙を中心に見ていくわけですが、最初の方に料紙の美しい作品が多かったように思います。
とりあえず適当に、気になった作品の感想をば
- 石山切「伊勢集」
- 早速料紙を見ているわけですが(笑)、唐草文様の料紙が綺麗でね。褪色を頭の中で補ってみる感じになりますが、元々はもっと鮮やかだったんでしょうねぇ。
- 理趣経種子曼荼羅
- 梵字で仏の宇宙を表現する曼陀羅だそうです。梵字だし、曼陀羅だし、美術の範囲で解釈すべきか迷いますけど、梵字の力強さと、払いの部分が雲のようにたなびいているのが良いです。
- 後陽成天皇の和歌色紙
- 後陽成帝というと織田信長と互角に渡り合った天皇ですが、風雅の方もちゃんとこなしてます。秋草と雲の上に、空間を見て筆をおいてるのが印象的です。
- 月に萩・蔦下絵古今集和歌巻(伝本阿弥光悦)
- おお、巨大な満月の上に文字を書いてしまう発想が良いですわ。これ、銀泥が元々の輝きを持っていた頃は、さぞかし煌めいていたんでしょうね。
- 花卉摺絵新古今集和歌巻(本阿弥光悦)
- 金粉金泥の上を光悦さんの文字が強弱を付けながら跳ねまわってて。光悦さんのセンスはやはり良いですわ。
- ゆふもやは(桑田笹舟)
- 出光でも最近の方の作品をお持ちだったのねと思ったり。文字が柳の枝のようなのがよいですわ。それにしても良い月ですなぁ。
- ○△□(仙厓)
- 出光名物、仙涯さんの○△□、出ましたっ。筆の勢いに惚れ惚れしますなぁ。
- 寿老人図(白隠)
- 白隠さんの寿老人。寿の字が冠のように斜めになっているのがお茶目です。衣のところも何かの文字なんでしょうかねぇ?と思って見ましたが、よく判りません(汗)
- 虫歌合巻(烏丸光廣)
- 虫の歌合戦。草むらの上に、確かに虫が描かれていて、なんか楽しいわ。
- 日課念佛(徳川家康)
- 山岡荘八の「徳川家康」などでも大御所になった後に家康が日々南無阿弥陀佛を書いていたシーンがでてきますが、それです。ぎっしり書き込まれていて、家康の人となりが見えてくるようでした。
ということで、判らないながらも目を皿にして見てみましたら、何か良いなと思う点が見つかるもんですね。
とは言いつつ、全く書を読んでなくて見ているだけなんですが……。
よし、これで東博の「和様の書」に行く勇気が湧いて来ました。なんか相当すごいと美術クラスタ方面で評判なので、早いうちに行ってみようと思います。