月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

川合玉堂@山種美術館

山種美術館で開催されている川合玉堂展に再訪しました。
前回は6月15日、この日は河野先生による川合玉堂についての解説なんだかトークライブなんだかよく判らない講演会*1の前に1時間、駆け足で見たのですが、展示替えもありましたので再訪した次第です。


川合玉堂さんの絵は最近良く聞きます里山の風景といった感じのものが中心で、そういう里山の景観に惹かれる感性って面白いなと思います。正直、横山大観が描く富士山と太陽よりも、よっぽど大和心だと思うわけで*2


とりあえず、気に入った(気になった)作品の一言メモを上げておきます。

鵜飼(1895年)
確かに硬さはありますが、舟の人の表情とか玉堂らしい柔らかさ人間らしさが見られますね。ですが、これを描いた直後に橋本雅邦に弟子入りしてしまうわけで、玉堂としては今一つだったということなんですよね。
悠紀地方風俗屏風(小下図)
昭和天皇のときの悠紀地方風俗屏風の下絵です。近江で悠紀地方(東国)と言われると驚きますが、東山国ですからねぇ。
瀬田唐橋に自転車とか山口晃さん的な感じもありますね。
写生画巻「花鳥15歳写生」
15歳の時の写生帳。葉の虫食いとか細かく見てますな。
磯千鳥図
誰しもが一度は通過する琳派的な構図の絵。鳥が隊列組んで飛んでいるところとか、波の形とか、いかにも琳派です。
山雨一過
峠を越える馬の姿。周りの雲の位置を見ると、ここは結構標高高いよねと
早乙女
にじみが琳派的とか平面的とか俯瞰的とか、絵についての説明は色々ありますが、やはりこの作品は乙女の表情に注目すべきかと。可愛いよね。
水声雨声
水車に向かって木の樋を流れていく水と、降り注ぐ雨の温かさが感じられて。玉堂さんの描く雨は6月頃の感じかなと思うことがよくあります。
古城新月
竹内栖鳳にも城を描いた作品があって、それでも感じたのですが、日本画で描かれている城ってすこく風情がありますね。凄く細い2日目の月と、手前で咲いている桜も良い感じです。
鵜飼(1948年)
今回の展覧会では鵜飼を描いた作品が3枚出ていましたが、年を経るに従ってどんどんクローズアップされて、風景から表情の方へ重心が移っているのが見て取れました。玉堂の関心も鬱って行ってたのでしょうかね。
第2展示室となっている小さい部屋では、玉堂があまり題材としてない動物を描いた作品を集中展示してました。この猫さん、緩さがなくてキリッとしている感じが良いです。


会期が4日までなので混雑気味でしたが、これだけの数を玉堂さんだけで埋める展覧会はそうそうないと思いますので、見といてよかったと思う展覧会でした。

*1:いや、褒めてますから

*2:横山大観は富士山を描かなければ良い画家なのにねぇという感想は、どうやら不変のようです……