ホテルオークラ東京では、毎年夏にチャリティ展覧会として、あまり美術館などで公開されることの少ない個人や企業の持っている作品を使っての企画展が行われます。会場がホテルの大広間ということも合って照明に難があったりしますけど、お目にかかる機会の少ない作品が多いので、行っておかないと後で困る、という感じです。
で、19回目になる今年はタイトルにあるとおり、フランスの画家を中心としたものですが……タイトルのうちモネはともかくとして、ユトリロと佐伯祐三はあまり得意でない画家なので、どうしたもんかと。緑も無いような街中の壁の落書きを得にして何が面白いのだろうと、そういうことを考えてしまうもんで……*1
ま、それでも、ユトリロと佐伯祐三ばかりということはないだろうと思いまして、行ってきたわけです。
で、予想通りといいますか、ユトリロと佐伯祐三を外しても見るものが多かったわけで、ざっくりと振り返ってみます。
まず最初の部屋は、印象派の風景画とか自然を描いたもの。フランスだけでなく日本の画家の作品も出てきます。
- モネ「菫の花束を持つカミーユ・モネ」
- モネの描いた奥さんであるカミーユの肖像。こんな感じで大きなキャンバスに描いたカミーユは見慣れないこともあって、すごいなぁと思うのです。
- ルノワール「帽子を被った二人の少女」
- ルノワールのパステル画。パステルでざっと描いても女の子はかわいい
- アンリ・ル・シダネル「森の小憩、ジェルブロワ」
- 日陰の中に木漏れ日が見えて。日陰の感じが確かにシダネルですね。
- 岡鹿之助「積雪」
- キャンバス地が見えるのと、建物があるのに人がだれも居ない感じがこの方の特徴かと思います。
- モネ「日本風太鼓橋」
- アサヒビールの大山崎山荘美術館が所蔵するモネの太鼓橋ですが、すでに抽象画ですね、これ。
- ルノワール「エスタックのオリーブ畑」「カーニュ農園」
- ルノワールの風景画が2つ並んでます。2枚の作品の間に8年間の時間があるのですが、その8年間で画風も変わって線が太く、荒々しくなっている感じ。好みは、線の細い、8年前の方ですかね。
次の部屋は、ユトリロと佐伯中心に、パリの街中を描いた作品が続きますが、ここは見飛ばして、というか予想どおり心に引っかかる作品がなくって。
で、最後の部屋に行くと、こちらは肖像画の部屋になってました。
- キスリング「水玉の服の少女」
- これぞキスリングという感じの絵で、西洋人形っぽい呼吸を感じない絵がキスリングらしくて良いですわ。
- 藤田嗣治「2人の子供と鳥籠」
- 藤田さんらしい白い肌が見られます。少女の目とか絵の感じが、南桂子さんの銅版画を思い出したり。ちなみに藤田さんの作品は4作品ほどありまして、どれも白い肌などの藤田さんの特徴がよく現れていて、良いですな。
- 児島虎次郎「西洋婦人像」
- 出口に一番近い所にいたのは、児島虎次郎さんでした。描かれた女性の目が大原美術館にいる和服姿のベルギー娘に似ていて、虎次郎さんっぽいなぁと思う次第。
ということで、おお、ユトリロと佐伯に興味がなくても、結構楽しんでるじゃないですか(をぃ)。
はい、ごめんなさい。ちゃんとユトリロと佐伯祐三も勉強します……。
*1:この理由により、荻須高徳も苦手です……