月猫ツーリスト雑記帳

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東大寺−鎌倉再建と華厳隆盛@神奈川県立金沢文庫

京急の金沢文庫駅から歩いて15分位の神奈川県立金沢文庫で、東大寺に関する展覧会があるというので行ってきました。
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こちらの展覧会は2012年に奈良国立博物館で開催された「頼朝と重源」という展覧会の巡回というか縮小コピーというか、そんな展覧会です。何しろ会場の大きさも違いますし、巡回というには時期も離れてますのであれですが、コンセプトとしては一緒で、東大寺が源平争乱時に平家によって焼き討ちされたものを鎌倉になって再興するにあたり、活躍した重源にスポットを当ててます。といいつつ、展示室もあまり広くないので、重源本人については余り説明せずに、東大寺にある鎌倉時代の作品を展示するような感じになっておりました。


展示はまず前半で、東大寺の鎌倉再建をテーマをとしています。

16「東大寺曼荼羅」
かなり大きな作品で、東大寺の建物を仏に見立てた曼荼羅になっています。相当発色が良いです。中央に大仏が描かれてますが、ご本尊はさすが巨大です。大仏の前に東大寺に今もある誕生仏が描かれているのが気になります。実際にそういう感じで置いてあったんでしょうかね?
01「重源上人坐像」
奈良国立博物館では主役だった重源さん。今回はそんなに目立つ位置ではありません。見るからに正しくお年寄りを写実している像で、首筋とか少しは遠慮しなさいよと言いたくなるくらいにリアルです。あと、衣の彫りがいい波の感じです。
12「四天王像」(大仏殿様、戒壇院千手堂安置)
この四天王像は、顔のとか背中に彩色が結構残っているのが特徴。四天王様なので顔の色は原色で、皆さん異なってます。あと、鎧は金箔を上から張っているのでしょうか?。金色が目立っておりました。
13快慶「地蔵菩薩立像」
鎌倉期と言えばこの人、という感じで快慶の登場です。この菩薩さんの顔だちは確かに慶派という感じです。あと、彩色がかなり残っているのも特徴的で、衣の金箔(?)や、台座の蓮の所の白とか鮮やかでした。


展示の後半は、「華厳の世界」というタイトルがついています。

38「弥勒仏坐像(試みの大仏)」
東大寺の仏像の中では厨二病の誕生仏の次に好きな、試みの大仏さま。遮光器土偶を思わせる細目が良いですよね。
43「華厳海会善知識曼荼羅」
とても絵の細かい曼荼羅。7マス×9マスのブロックに分かれていて、それぞれに描かれている絵が緩い感じで好きだわ。
49「紺紙金字華厳経
お経の最初の所に描かれている絵は、金泥で描かれた普賢菩薩さん。細かい絵でいかにも美しくありがたい感じです。


と、展示点数が少ない割りには、良いものを厳選して持ってきている感じで、結構面白かったです。


ところで展示を見ている横でボランティアによる展示解説をしていたのですが、「今回特別公開」とか「滅多に見ることが出来ない」とか「東大寺で見ても暗くてここまではっきりと見ることが出来ない」というような説明をしていて……。
そういう希少性を強調するのではなくて、何でこれが大事にされたのかを丁寧に説明するような解説だったら良かったのですが……。