月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

物語絵@出光美術館

出光美術館で、物語絵の展覧会が有ったので、見てきました。
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この日はどういう訳だか家を出たのが15時過ぎだったので出光美術館についた時点で閉館1時間前。そんなこともあって、後半の見方がなんとも荒いのですが、前半で充分満足してしまったので、はやめに感想を書いてしまいます。



「物語絵」と聞くと、やはり源氏物語伊勢物語を題材にしたものを期待するのですが、出光美術館2013年に「源氏絵と伊勢絵」というそのままなタイトルの展覧会をやっているものですから、それ以外のものも多かったです(けど、源氏絵をうれしく眺めているうちに他の絵を見る時間が無くなったのですが……)

第1章 物語絵の想像力―〈ことば〉の不確かさ

まずはいきなり、物語にとらわれない、物語に取材しながら物語以上の広がりを持つ作品です。

冷泉為恭「雪月花図」
左が枕草子から「香炉峰の雪」の場面、右が源氏物語から花宴あたりの場面らしいです。が、そんな場面設定は横において、全体を墨一色で描いている中に人物だけがカラーで、自然と人物に目が行く仕掛けになっているのとか、墨で描かれている襖などの細かさや、バックの山並みの雄大さなど、気品があってみていて飽きない作品です。これ、一枚欲しいわ(だめです)

第2章 性愛と恋―源氏絵を中心に

そして個人的メインの源氏絵の世界。ここは描かれている場面を考えながら見ていたせいで、時間がいくらあっても足りませんでした……

俵屋宗達源氏物語図屏風断簡・葵」
若紫の髪削の場面。この後、葵祭の見物があって、車争いがあって、ほいで若紫が大人の階段上ることになるわけですが、そんなことはこの時点では知る由もない若紫です(って、こんなことを思い出しながら見るので時間がかかるんだ)
源氏物語図屏風
54帖中26帖について、1場面ずつ描かれている屏風です。半分くらいの帖は省略されているので、須磨を描かないのに澪標で明石上の船が登場したりして、それでいいのか?という感じです。つらい場面はカット、という方針のようです。
個人的には、野分とか朝顔で、庭で遊ぶ女房たちを描いているのが可愛かったかなと。
源氏物語図屏風
二曲一双の屏風ですが、顔が面長なのと、金雲が目立つのが特徴。紅葉賀の場面で光源氏と頭中将が青海波を踊ってるのが描かれていますが、なぜか金雲の上で踊ってるのですよね……
岩佐勝友「源氏物語図屏風」
第1室のメインの場所に展示されていた屏風です。こちらは54帖すべてが描かれています。
若紫では光源氏が覗き見している顔の正面を見ることが出来たり、真木柱では本当に香を投げてるし、須磨では雷神様が暴れているし、全体的に面白おかしく描いたのかなぁという感じです。

第3章 失恋と隠遁―ここではない場所へ

都落ちとか、出家遁世をテーマにした作品ということで、伊勢物語の東下りや、西行物語などが紹介されています。

俵屋宗雪「伊勢物語 富士山図屏風」
伊勢の東下りの場面です。富士山の大きさと、デフォルメされた山頂が目を引きます。
絵/俵屋宗達 詞/烏丸光広「西行物語絵巻」
伝でない宗達は表情がいいです(ゑ?)。岩とかに、たらしこみが使われているのが風情あります。

第4章 出世と名声―成功と失敗をめぐって

ここから第3展示室に入りますが、この章は2作品しかなくて、あっという間に通り過ぎてしまって印象が無いんですよ……(をぃ)

第5章 荒ぶる心―軍記物語と仇討ち

ここからガラッと変わって、軍記物語を絵にしたものが登場します。というか、物語関係なしに合戦図として見たほうがいい感じ、かも。

平家物語 一の谷・屋島壇ノ浦合戦図屏風
一の谷、屋島、壇ノ浦の合戦をまとめて1つの作品にしていますが、人も船も入り乱れていて圧巻です。そして、鵯越えは実に危険な垂直な崖です。
住吉如慶「木曽物語絵巻」
これは平家物語の中から木曽義仲の活躍の部分を抜き出したものだそうです。全体的に細かい線で丹念です。

第6章 祈りのちから―神仏をもとめて

最後に、物語の中にあらわれた神様仏様を描いたものです。このあたりは閉館間際なので、あまりじっくり見てないのですが……

岩佐又兵衛「蟻通・貨狄造船図屏風」
伝岩佐さんとされる作品。人の顔が実にイキイキしていて、確かにこれは岩佐さんだなぁと。


と、一応章ごとに書いてみましたが、何しろ27作品しかないのを6章に分けているので、2~3作品しかない章もあって……1章と4章は独立した章にするには辛いものがあるように思えました……。
そして、やっぱり私は源氏物語が全ての基本になってるなぁと再認識する次第でした。



おまけ:
出光名物、ロビーからの眺望です。17時近くなっても日が落ち切らなくなって、少しずつ日が長くなってますね。
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