東博で行われている鳥獣戯画展ですが、うまい具合に初日に行くことが出来ました。
この展覧会、東博の今年度行われる特別展の中では日本美術を扱う唯一の展覧会だったりするのですが、それよりも京博で入場までは240分待ち&甲巻展示室は更に40分待ち、なんてこともあった展覧会の巡回ですから見るためにはそれなりの覚悟が必要です。
ということで、
東博さんも準備は万端です。
ついでにこんな準備も。
鳥獣戯画の世界って、水中で相撲をしてたんでしたっけ?(そういうこといわない)
そうじゃなくて、この場面の再現ですね。
こちらの写真は、東博本館で展示中の模本を撮影したものです(以下、展示物紹介の写真もです)。
展示の方は大きく、
と分かれてます。
まず最初の「第1章 高山寺伝来の至宝」。
ここではまず、白描の絵巻が続きます。なんでも高山寺は白描収集センターとして機能していた時代があったそうで、現在は高山寺にない作品でも高山寺のスタンプが押された白描が沢山あるとか。
- 阿弥陀鉤召図
- 修行中のお坊さんの首に縄をかけて引っ張ろうとする阿弥陀様。「私は自力で悟りを開きたいんです~~~~」「まぁいいからいいから。あたしゃ一切の衆生救済をすると決めたんだから」みたいな会話でもしていそうな感じです。
- 弥勒菩薩図像
- 弥勒菩薩様の腕が30本ありますが、どれも均質な線でとても丁寧な作りです。
そして高山寺石水院の栂尾開帳を再現した空間もありまして。ここは栂尾開帳でおかれる神鹿さんの目が可愛くってねぇ。
この先は「第2章 高山寺中興の祖 明恵上人」に移ります。
まずは明恵上人の人となりを、ということで……
- 子犬
- いきなり応挙や芦雪の犬を3Dにしたような置物が。これは可愛い!。なんでも明恵が傍らに置いていた置物だそうで。この可愛さはいきなり反則です(笑)
- 明恵上人像(樹上坐禅像)
- そしてこちら、木の上で座禅を組む明恵さまです。明恵さまの上にはリスがいたりして、流石、自然が一番という教えを日本に定着させた明恵さまらしい。
それから、天竺にあこがれていた明恵が高山寺に置いた天竺っぽいものも出てました。
- 白光神立像
- 真っ白な仏様ですが、白はヒマラヤを表すのだとか。何となく、吉祥天女が菩薩となったかのような顔立ちです。
- 釈迦如来立像
- 日本にあるインド風の仏と言えば、当時は清凉寺の釈迦如来像が唯一ですが、その清凉寺のご本尊様を真似た仏様です。
- 仏眼仏母像
- 白を基調とした大きな仏画。白を基調としたせいもあって色が良く残ってて。あまり普段はスピリチュアルなことは言わないようにしてますが、この仏画は何かパワーのようなものを感じました。
(この模写を描いたのは橋本明治だとか)
第3展示室のほうに移動して、そこには鳥獣戯画の前座のように展示される絵巻が。
もちろん前座などではなく、「華厳宗祖師絵伝 義湘絵」という国宝です。この絵巻がすごかった。
絵巻の中の中心人物として善妙という女性が出てくるのですが、この方、
- 僧に恋して
- 僧の近くにいるために自らも出家したのに
- 僧は善妙を置いて旅だってしまい、
- 後を追った善妙は海に身を投げて、
- 最後は龍になって僧を助けた
という、なんですかこの切ないお話は!。もうね、こういうタイプの一途なのに報われない恋って好きすぎて、もうたまりません!。
※京博にこの作品についての良い解説がありました。
華厳宗祖師絵伝(けごんしゅうそしえでん) | 京都国立博物館 | Kyoto National Museum
この先が鳥獣戯画なんですが、正直「華厳宗祖師絵伝 義湘絵」で舞い上がりすぎちゃって、あまりちゃんと覚えてないんですよね……。甲巻が70分待ちだったのは覚えてますが……。