日本橋高島屋で開催された細見美術館の展覧会に行ってきました。
そもそも百貨店で開催される美術展の一番の特徴は開催期間が短いということで、ちょっと油断すると感想の駄文を書くのが展覧会終了後になるし、更にもう少し油断するとそもそも展覧会に行きそびれてしまうという次第になります。今回もまさにそんな感じで、この駄文を書いている今は展覧会が終了しているわけで……。まあしょうがないわね。
そんなこんな言っても行ってしまうのが百貨店の展覧会で、展覧会そのもの以外の部分で楽しめる、というのがあるんですよね。
そう、今回も……
とまあこんな塩梅。素敵なショーウィンドウです。
また、そもそも細見美術館の作品を集めた展覧会は過去何度も行われているわけで、まぁ無理していかなくてもいいかなと思ったりするので行ったのが遅れたというのも、駄文を書くのが展覧会終了後になった理由の一つです……。
<過去に見た、細見美術館の名品展>
- 2009年06月@日本橋高島屋
- 2010年01月@国立能楽堂(鈴木其一メイン)
- 2010年09月@神戸大丸
- 2012年03月@そごう美術館(2部構成の1期目)
- 2012年06月@そごう美術館(2部構成の2期目)
- 2013年06月@日本橋高島屋(細見+京都市美、神坂雪佳メイン)
駄文に感想があるのだけでこんなにあったか(汗)。なので、殆どの作品は見覚えがあるわけです。
とはいえ、細見の収蔵品には何度も見たくなる良さがあって。それは雅とか洗練というのでしょうか。その辺りの統一性は個人コレクションならではと思います。
と、与太話ばかりでも何なので展覧会の感想です。今回の展覧会は時代順の構成になってました。琳派は100年おきにポツポツと登場する流派なので、時代順の構成が一番わかり易いということなんでしょう。
まずはじめは「琳派誕生」光悦・宗達ペアの時期です。
- 入ってすぐのところにあったのが、「伊年」印の「四季草花図屏風」。草花を3段に分けて季節順に描いた作品ですが、これは細やかさが見やすいです。個人的には琳派の「四季草花図屏風」は草花がごちゃごちゃしていて見難いと思っていたのですが、これは良いです。
- そして宗達光悦ペアの「忍草下絵和歌巻断簡」。金泥と銀泥で描かれている藤のリズムがよいです。
- 俵屋宗達「双犬図」。犬は卑怯、というのは応挙や芦雪でよく感じるのですが、宗達よ、お前もか。
次の章が「花咲く琳派」。尾形光琳の頃です。と言いつつ私自身は、光琳と大観については画力を認めないことにしているので(?)、自然と他の人の作品に目が行くわけで……。
- 渡辺始興「簾に秋月図」。秋好で月好な私なので、この作品はとても好き。簾越しの秋草が儚げで、切なさが美しい。
- 中村芳中「白梅小禽図屏風」。たらしこみすぎの芳中さんらしい、自由というか大雑把というか。後それと、鳥はもう少しちゃんと描いたほうが……
3つ目の章が「あらたなる展開」。江戸琳派の酒井抱一、鈴木其一を中心としたところです。あたしゃこの江戸琳派が一番好きですわ。
- ということで、まずは酒井抱一さんの、琳派ではなく浮世絵の作品「松風村雨図」。久しぶりに見ますが、ほぼ墨一色の肉筆浮世絵というのも珍しくて。にしても、25歳でこれだけ描くとは、ませてますなぁ。
- そしてもひとつ、酒井抱一の「桜に小禽図」。花鳥十二ヶ月図の中の1枚のようですが、桜とか鳥の書き方がしっかりしていてゆるぎないのが良いです。というか、鳥さん、かわいいな、鳥さん。
- 鈴木其一さんの「藤花図」。細見の其一作品では外せない作品で、お久しぶりといった感じです。装飾的な繰り返しのように見せて、一つ一つの花が微妙に異なっていて、これは写実か装飾か?と迷うのです。
- 鈴木其一「雪中竹梅小禽図」。これは胡粉を散らして表現した雪が良くて、ほんとうに雪が降っているように見えます。
- 鈴木守一「業平東下り図」。江戸琳派の得意技に描表装がありますが、この作品は描表装で、桜にもみじに秋草にと四季を表現してしまうのが楽しいです。
最後の章が「京琳派ルネサンス」。要するに神坂雪佳さんオンステージです。
- というわけで、細見で雪佳ちゃんと言えばの「金魚玉図」。画面いっぱいに金魚を正面から見た構図、なんて、他の方はまず描かんでしょうなぁ。なんか動物の正面からの絵って可愛いよね。
と、なんか結局感想を書いた作品は過去にも見たことがある作品ばかりですが(まぁそもそも、初めて見た作品自体が殆ど無い)、好きなモノは何度食べても美味しいのですから、それもしょうがないのです……。