会社から1番だか2番目だかに近い美術館である千葉市美術館ですが、どういう訳か1年近くは余り行くこともなく。まぁあれです。あまりに会社に近いところだと、休日に好き好んで期待とは思わないじゃないですか(ゑ?)。
そんなわけで、久しぶりの千葉市美術館、今やっている展覧会はドラッカーの日本美術コレクションです。
ドラッカーと言えば例の「マネジメント」ですが、「マネジメント」は「人口を考えるとアメリカの2.5倍、読者がいる」と言われた日本に講演などで来るたびに日本美術を入手していったようで、そのコレクションは膨大です。その中から、中世の水墨画を中心に100点以上が展示されていました。
- 式部輝忠「渓流飛鴨図」
- まず最初はこの扇面の作品。式部輝忠といえば山下裕二先生を思い出します(先生が式部輝忠展をやってくれないかなぁとひそかに期待しております)。この作品は、渓流らしく渦巻く波の勢いが見どころかと。
- 曾我蕭白「雪景山水図」
- 曽我蕭白さん。代表作に見るような荒々しさや怖さのある作品ではなく、縦の直線が目を引く不思議な感じの風景画ですが、これは晩年によくあるスタイルですね。縦長の掛軸で縦の直線を多用するのですから、視線が上下に自然とさまよいます。
- 鑑貞「花鳥図」
- 飛んでいる雀の羽が、きれいに半円というか鶴翼形になっているのがおもしろい。
- 精庵「雪中雀図」
- もうね、これは沢山いる雀がかわいくてねぇ。
- 山本梅逸「花鳥図」
- 梅逸さんらしく、草木の描き方がとても細かいなぁと。あと、地面で上を見上げてる雀がかわいいなと。
- 海北友松「翎毛禽獣図」
- ウサギの目が真っ黒で変なのは後の時代に手が加えられたせいだそうで残念ですが、どの動物も生き生きとしていて。特に手長猿は、気にぶら下がって揺れているかのような勢いが感じられて、格好いいですな
- 久隅守景「山水図」
- 章立ての都合か、この作品はなぜか文人画のコーナーに。まぁ、水墨と文人画の中間点的な作品と言われればそんな気もしてきますが。
- 与謝蕪村「牧馬図」
- 尻尾と裾が翻っていて、当然無風な展示室なのに心地よい風を感じます。
とまぁ、そんなに得意でない室町絵画を端折りながら見ても気に入ったり気になる作品が多くて、見るのに時間がかかりましたわ。はぁ。
それにしても1960年代だと、これだけの作品が市場に出回ってたのですから、コレクターにとってはおいしい時代だったんだろうなぁ、その頃に買い物したかったなぁなどということを思ったりするのですが、ちょっと生まれるのが30年ほど遅かったですね、私。