大阪天王寺で大阪市立美術館に寄った際に、ついでにあべのハルカス美術館にも立ち寄ったのでした。
こちらでやっていたのは、香川の金刀比羅宮に関する展覧会。
金毘羅さんは内陸にあるのに瀬戸内海を中心とした海上交通の神様として信仰を集めたところ。なんで信仰を集めるようになったのかは気になりますが、江戸時代以降は相当繁盛したところです。
ということで、展示はまず最初に海上交通の神様としての金毘羅さんを見ていくところから始まります。
- 船絵馬
- 最初に展示されていたのは巨大な絵馬で、馬の代わりに船が描かれています。描かれているのは歌の通りに帆掛け船。なかなか勇壮な姿です。
- 伝狩野清信「象頭山社頭並大祭行列図屏風」
- 祭りの日の金毘羅さんを描いた屏風ですが、見事に人だらけ。描かれている川に勢いがあって、確かに琴平の辺りは標高があって勾配がそれなりにあるんですよね。
- 木造十一面観音立像
- 神仏習合の時代を留めるように、一木の観音様が展示されていました。化仏は無くなっているけど十一面観音ということで。彩色が良く残っているのが見て取れました。
そしてこの後は、怒涛の美術品紹介になるのです。
ほら、古くから信仰を集めたところなので、寄進されたものなどが沢山あるのですよ。
- 三十六歌仙額
- まずは三十六歌仙をたたえる36枚の額から。狩野探幽、尚信、安信で分担して描いたものということです。なんか、人物よりも歌を書いた部分のバックが料紙を再現した感じになっているのが、技巧的にすごいなと思ったりして。
- 円山応挙「稚松丹頂図」「芦丹頂図」
- そして応挙さんが描いた襖絵が、空間を再現する形で大量展示。まずは鶴を描いた襖絵をL字型に。タンチョウさんは格好いいですな。
- 円山応挙「遊虎図」
- そして、タンチョウの裏は
ねこ虎でした……。こちらはコの字型に展示です。こちらの猫、じゃない、虎は毛並みが良くてかわいいのですわ。 - 伊藤若冲「花丸図」
- 若冲さんの花丸図。元々は部屋の全面に描かれていたのですが、劣化などで別の作品に置き換えられてしまって今残っているのは一部だけ、というもの。植物図鑑に使えそうな精密な絵でした。
- 歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」
- 額装された浮世絵って珍しいなと思いましたが、昭和30年に寄贈されたものだそうで。起草された方の住所と名前が額の下のほうに書いてありましたが、岡山市下石井と……。下石井は岡山駅のすぐ南、イオンモールからヨーカドーあたりの地名ですが、あのあたりに寄贈が出来るような財産家がいたのですね。
- 長沢蘆雪「鯉魚図」
- 芦雪と言われなければ、応挙にしか見えませんがな。何しろ鯉ですし……。
ということで一通り見てきました。
金毘羅さんは結構頻繁に美術品を公開しているのですが、何しろ四国まで行くのが一苦労ですし、一度に全部を見せてくれるわけでもないですので、こういう展覧会での公開は便利ですしありがたいです。
ま、そんなことよりも応挙のねこ虎が可愛かったですわ(結局これが一番の感想)。
おまけ:犬ですけど、これも可愛かったなぁ