現在、藤沢にある遊行寺と、神奈川県立歴史博物館、神奈川県立金沢文庫では、3館共同で国宝の一遍聖絵の展示を行ってます。
全12巻の一遍聖絵を各館で4巻ずつ展示するという企画で、全巻同時公開というの自体が初めてなんだそうです。
更には東京国立博物館でも同時期に一遍聖絵の模本を全巻展示してまして……。
ということで、3館+1館の計4館をコンプリートしたので、各巻の印象を書いておきます。まず今回は前半の6巻まで。
といいつつ、寺社仏閣物見遊山絵巻の感想と化してしまうとは思うのですが……。
1巻(展示:遊行寺)
こういう高僧の伝承をまとめた絵巻物では、普通は最初に生まれたときの話を描いたりするものですが、一遍聖絵はそんなところは飛ばして修行に出発するところからスタートします。
最初にめぐったのは、熊本とか大宰府とか。そして続いて善光寺に行くのですが、善光寺って塔が正面にありましたっけ?なんてことが気になるのです。
(写真は東博で撮影した模本から)
4巻(展示:神奈川歴博)
この巻では武家の館や丘の上にある大隅八幡などが登場します。
それから備前福岡。これは教科書などで鎌倉時代の「市(いち)」の絵としてよく紹介されるやつです。
そして初めての踊り念仏が描かれていますが、踊りの輪が小さいですね。
5巻(展示:神奈川歴博)
そして踊り念仏はいよいよ盛んになって、踊っているうちに縁側の板を踏み抜いたなんてエピソードも。
そして白河の関を超える場面が描かれていますが秋の峠らしい描き方で、これは風景画として素晴らしいですなぁ。
6巻(展示:神奈川歴博)
この巻では三嶋大社に参りますが、もうね、見たことのある人には確かにこれは三嶋大社だ!と判る描き方で、良いですねぇ観光ガイド的で。
そして富士山は、人を小さくして山の大きさを強調しているのが新鮮です。
とまぁ、この絵巻って江戸時代に出版したら手軽な神社仏閣ガイドとして好評だったんじゃ無いかしら?と思うほど、神社仏閣がよく描かれているんですよね。
一度、この展覧会の図録を持って、実際に現地に行ってみようかしら?
(後編は、こちらへ)
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