クラーナハ、というよりクラナッハ、と言う方がしっくりくるのですが、ドイツの絵画の歴史を紐解くと必ず名前の出てくる方です。
クラーナハの最初の出会いは忘れましたが、嵌ったのは間違いなく2009~2010年の「The ハプスブルク」展。この時はクラーナハのために東京だけではなく、わざわざ京都まで行きましたっけ……。
えっと、「生首を持つ少女」に反応しすぎではないかと……。
今回の国立西洋美術館でのクラーナハ展もキービジュアルが「ホロフェルネスの首を持つユディト」ですからね。期待しないわけにはいきません。
ちなみに、冒頭に挙げた写真の、ちょうど切れている下のところに生首があるのです。看板に出ている範囲だけを見て、可愛い絵だと思ってはいけません(?)。
展示の方は、描いた絵の分野(宮廷画家とか肖像画とか、版画とか)ごとに作品を見ていきながら、随所に近現代の画家に与えた影響を紹介していました。この影響を受けた画家というのが、ピカソを筆頭に色々な方が登場するのも面白いです。まさか国立西洋美術館で岸田劉生を見るとは思ってませんでしたもん。
また版画を大量に所蔵している国立西洋美術館、版画も大量に展示しています。ヨーロッパにも多色刷りの版画があったんですね、なんてことも判ったりして。
などと落ち着いた紹介をしていますが、そんなことはどうでも良くて、素晴らしいのは階下のフロアですよ、階下の!。
ここは「誘惑する絵」と題して悪女のオンパレード。「美女と生首」もこちらになります。
ヘラクレスの周りで美女が4人がかりで糸紡ぎを教えながらからかえば、ロトの娘たちは二人係で父親を誘惑して、サムソンは寝てる間に髪を切られて、ユディトとサロメは生首を持って微笑んでる。なんて素晴らしい。
どの女性も、綺麗ながらも静けさがあって(多分、目が据わってるせいでそんなイメージになるのかと)、そんなところにも魔性を感じます。あと、髪の毛とかお洋服とかがとても丁寧で細かくて、これは力を入れて描いてるなぁと。というか、髪の毛とおよーふくが綺麗だと、惹かれますわ……。
もうね、奇麗なお姉さんと奇麗なお衣装に見とれていると、実はそこでは悲劇が……という絵を見てると本当に心躍ります。
で、ふと思ったのですが、奇麗な旋律と奇麗な歌詞に聞きほれていると、実はそこでは悲劇が……と書き換えると、これって谷山浩子さんじゃん!
ということで、浩子さん好きと生首好きがこんなところで繋がってしまった、そんなクラーナハ展でした……。