三井記念美術館で開かれている展覧会、「国宝雪松図と花鳥」に行ってきました。
三井記念美術館では、毎年正月に円山応挙の国宝「雪松図」を展示しています。で、雪松図に関係の有りそうなテーマで展覧会を構成するのですが、今年は「美術館でバードウォッチング」なんてポスターに書いてありますので、鳥がテーマ。
あれ?「雪松図」に鳥は出てきましたっけ……?
先に全体を見た上での感想を言うと、展覧会の主役は「バードウォッチング」のほうで、「雪松図」は例年恒例だから出しただけで……という感じでございました。というか、企画した学芸員さん、渾身の企画ですね、これ。
いつもどおり*1気に入った展示品を、展示されていた順に書いていきます。
まずは最初の部屋で工芸作品を見ていきます。
- 仁清「色絵鶏香合」(1-5)
- 野々村仁清さんの小さなニワトリ。何故か目がまんまるで、飛んでる虫を見て驚いているかのような顔が可愛いです。
- 玳皮盞 鸞天目(2-1)
- 重要文化財の茶色い天目茶碗。天目は好きですねー、かたちが整っていて。
この天目は中を鳳凰みたいな鳥が飛んでますが、想像上の瑞鳥である「鸞」だそうです。尾の優雅さが素敵だわ。
続いてメインの展示室、展示室4です。
- 沈南蘋「花鳥動物図」(4-3)
- 沈南蘋の描いた鳥の掛軸が6幅かかってます。ニワトリの尾羽とか、かっこいいんだよ。さすが若冲が学んだ画家だけ有ります。
沈南蘋の絵は写実的なようにも見えますが、尾羽など細部を強調するのが魅力かもしれません。 - 円山応挙「雪松図屏風」(4-5)
- 毎年恒例ですし、見慣れてますし、何しろバードウォッチングってテーマには合わないですし……。ということで、いい作品だし良い枝の描き方なんだけど、今回は軽くしか見ませんでしたね。
- 渡辺始興「鳥類真写図巻」(4-6)
- 渡辺始興の描く鳥類図鑑、という感じの作品です。実際にはお手本として描いたようで、絵にするときのための注意書きが有ったり、羽のような複雑なところの拡大図があったりするのも面白いです。
今回、この作品で紹介されている鳥の近くに、学芸員さんが撮影した鳥の写真が添付されているのが斬新ですね。というか、写真と見比べると、渡辺始興の絵が実に忠実に描かれていることに驚きます。
細長い部屋の展示室5からは1作品。
- 呉春「梅小禽図風炉先屏風」(5-2)
- 梅にメジロという構図の絵。写実を追求するような四条派であっても、メジロの目は可愛いですな。
小さな部屋の展示室6では、小ぶりの掛け軸を紹介してました。
- 土佐光起「鶉図」(6-1)
- やまと絵で有名な土佐光起さんですが、このウズラは毛とかが結構細かくて、写実的な作品と思えました。
- 小林古径「木兎図」(6-4)
- ミミズクかわええ!(冬らしく羽毛が膨らんだ)まんまるかわええ!目がかわええ!(をぃ)
最後の展示室7は、円山応挙と三井家関係者の作品が集まってました。
- 円山応挙「蓬莱山・竹鶏図」(7-4)
- 応挙の描いた3幅の掛軸です。中央の蓬莱山は水墨の山水画なのに、両側の鳥はえらく写実で。こういう描き分けも出来るところが応挙らしいところだなと。
- 三井高福「梅花金鶏鳥図」(7-10)
- 三井家の方が描いた鳥コーナーからも1つ紹介しておきます。この作品は色がとてもカラフルで、でもとても丁寧な描き方です。絵の感じは応挙的なところがありますね。
全体として、京都の円山四条派に連なる絵が多かったと思います。そのあたりは応挙の雪松図を展示していることと関係があるのかもですが、上品な絵が多くて楽しかったです。やはり鳥さんは可愛いですわ。
それにしても、鳥の写真を合わせて紹介するっていうのは新しい展示方法でした。写実的な絵だから出来た技かもしれませんが、写真と絵を比較することで絵の細部まで目が言ってよかったと思います。今後の展覧会でも時々やって欲しいですわ。
*1:といいつつ11月以来なのだが、展覧会の感想を書くのは