6月になって東京でも博物館美術館が再開されるようになりました。
前回展覧会に行ったのは3月20日でしたのでもう2か月半前ですか。となると禁断症状も出るので週末まで待つことが出来ないわけで……。金曜ですが、会社を休んで展覧会に行くことにしたのでした。
ということで、復活展覧会巡りの最初の場所として選んだのはこちら
江戸東京博物館です。
江戸東京博物館で現在やっている展覧会は「奇才ー江戸絵画の冒険者たちー」というタイトルのもの。江戸時代に個性的な絵を描いた絵師を一堂に集めてみてみましょうという展覧会です。言ってみれば「奇想の系譜」の拡大バージョンのような展覧会、ともいえるかもしれません。
展示は絵師を活躍した場所で京都、大坂、江戸、諸国の4つに分け、各絵師の作品を1~4点ずつ紹介していくというものです。参加されている絵師の数が多いので、一人当たりの打席数は少ない、オールスターゲームのような展覧会になってますね。
では、京都から、気に入った絵師の気に入った作品をコメントしていきます。
尾崎光琳のコーナーに漆器の蓋がありました。「流水図広蓋」という名前の蓋ですが、裏側に水の流れが描かれています。というか、ただの青井線で描かれた曲線なんですが、これが流水に見えるのが光琳さんの力だよなぁと。
で、その横を見ると、怪しいおっさんが二人。狩野山雪の「寒山拾得図」です。
これなぁ、絵のサイズもあって寒山拾得の怪しさがマシマシになっているのですよねぇ……。
かとおもえば狩野山雪はかわいい猫の絵も出品してます。いや、猫じゃなくて虎なのか、「龍虎図屏風」って書いてあるし(をぃ)。
前足揃えてて、どう見えても猫のポーズですわ。まぁ、虎を見る手段がないからしょうがないのですが。
とはいえ虎の毛皮は見ているので、毛並みは猫のものではありません。ベルベットのような毛並み、丁寧です。
伊藤若冲さんは毎度おなじみ「鶏図押絵貼屏風」。今回展示されていたのは野菜と鶏をセットで描いているようで、って、大根に乗るな大根にw。
それにしても鶏はいろいろなポーズをするものです。後、ひよこはいつも可愛いわ。
丸山応挙も登場してます。応挙さんの出品作は「淀川両岸図巻」。これ好きです。両岸を描くために左岸東岸で天地が入れ替わるの、よく考えてるなと思います。なので、展示ケースは壁につけずに両側から見えるようにしてほしかったかなぁと。
あ、せっかく「淀川両岸図巻」を展示するなら、若冲さんは「乗興舟」を展示すればよかったのに(今回は肉筆画オンリーの展覧会のようです)。
奇才といえば当然この方もいます、曽我蕭白さん。とはいえ展示されていたのは「楼閣山水図屏風」。大胆で濃いころの作品ではなく、大人締めではありますが、縦方向が強調されているという特徴があります。これはこれで、風景の現実感がなくなって、不思議な感覚になるので好きですわ。
と、その横には再び怪しいおっさんが二人……。今度は長澤芦雪さんの「寒山拾得図」。山雪のに比べると怖くはないのですが、怪しさは芦雪のほうが上でしょうか。というか芦雪さん、山雪の「寒山拾得図」を見たうえで描いてますね、きっと。
クマを描いた絵がありました。狩野永岳の「熊鷹図屏風」です。なかなか熊がリアルで、たぶん四条円山派の影響も時期的にあるのでしょうな。
続けて、大坂に行きましょう。実は大阪の絵師は自分はあまり評価してないのですが、今回はどうでしょう……。
大坂といえば外せないのが「たらしこみ過ぎの芳中さん」で有名な中村芳中さん。「人物花鳥図巻」というのがありましたが、描かれている絵がどれもたらしこみ過ぎで丸いのです。鹿も、人も、犬も、丸い!丸い!丸い!
耳鳥斎の「福禄寿」という作品ですが、右下にいる鹿の角がアンテナのようで……。きさまは地デジカか!(古い)
そして、大坂の作家の作品に、これは良いと思えるものがありました。墨江武禅の「月下山水図」ですが、月の光は弱いからこそ陰影が深くなるのを良くとらえています。月光の当たっているところは白く飛び、当たらないところは黒く沈む。良いですなぁ。
ちょっと長くなってきたので、江戸と諸国はまた今度にします(といって書かないことが多いので、そうならないように気を付けないと)。
(追記)後編、書きました
lunacat.yugiri.org