山種美術館の百花繚乱展、6月2日が会期末なので再訪してきました。
もうね、山種の持っている日本画って毒がないですし、私立のコレクションなのに幾らでも見たことの無い作品が出てくるので、ついつい通ってしまうんですよね。ということで、気づけば毎月1度は通っているような気がします。
で、今回は再訪ということもあったので、個人的なベスト10を選んでみようかと。このベストテンを選ぶ遊び、10になるまで作品をじっくり見て回ることになるので、各作品の印象が結構残ることになるんですよね。
ということで、ベスト10に選ばれた作品を、適当に紹介してみます。
第1章 人と花
- 菱田春草「桜下美人図」
- 江戸時代の浮世絵から近代日本画になる端境期の作品で、極度にS字になっている助成の表現が、浮世絵やねぇという感じです。あと、桜の淡い感じが注目ポイントかと。それにしても、右端にいる謎の生命体(オコジョ?)はなんなんだろうねぇと見るたびに思うのです。
- 森村宜永「夕顔」
- 源氏物語の夕顔の帖、乳母の見舞いに行った帰りにふと一件の家で咲いている夕顔に目をとめていたら、中からその家の侍女が歌を持って現れた……。という場面が、ほぼ正確に描かれている絵になります。青い色調が、夏の暑さを和らげているような、そんな絵になってますね。
第2章 花のユートピア
- 荒木十畝「四季花鳥」
- 春夏秋冬の4軸の掛け軸。それぞれ大きいのもありますが、江戸時代までの絵と違って余白の美なんてことは考えてない、極彩色の花でうめつくされた画面に圧倒されます。そんな中に描かれた鳥は、例えそれが雀であっても極楽の鳥のように見える神々しさがたまりません。
第3章 四季折々の花(春爛漫)
- 奥村土牛「吉野」
- 春といえば桜、桜といえば吉野でございます。そんな吉野の桜を描いた一枚。十牛さんの桜は水彩で描いたのかと思うような淡い感じが好きですわ。桃源郷の吉野です。
- 石田武「吉野」
- 一方、同じ吉野の桜でも、こちらは十牛さんよりも写実的。そして桜といってもいろいろな色があるもんだなぁと。雨に煙る吉野の桜もよいものです。というか、桜の季節に行きたいです、吉野……。
第3章 四季折々の花(夏の香り)
第3章 四季折々の花(秋の彩り)
- 谷文晁「武蔵野水月図」
- 近代日本画専門ですけど、江戸時代のものも持っているんですよとばかりに出展されてます。秋草に関しては、余白の活きた描き方をした作品のほうが好みなんですよねぇ。
第3章 四季折々の花(冬の華、春の訪れ)
- 速水御舟「名樹散椿」
- 正直、この絵が重要文化財と言われてもピンときてなかったのですが、よくよく見ると枝のうねり方とか、陰影表現とか面白いですね。それにしても、今回は第2展示室の方に展示されていたのですが、作品が本当に近くて、じっくりと見るとこが出来ましたわ。
- 上村松篁「春鳩」
- 松篁さんの鳩!見返り鳩!。なんか可愛くって、好きですわ。確かに鳩って、こんな感じで振り向く時があるのよね。
ふぅ。感想も10作品も書くとなると、簡単な感想であっても時間がかかりますね(汗)。