月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

奇想の系譜展@東京都美術館(前編)

東京都美術館で開催されている「奇想の系譜」展を見てきました。


「奇想の系譜」といえば辻惟雄先生ですが、この展覧会は、その「奇想の系譜」に登場する絵師の作品を集めてみましょう、というものです。
ですが、この「奇想の系譜」に登場する絵師は皆さんここ10年ほどの間に大ブレイクした方々ですので……。実質的には「今が旬の江戸絵画の名品中の名品を、一気に見せましょうコンチクショー」という展覧会なわけです。
実際、展示のほうは絵師ごとにコーナーが分かれていて、各作品の説明はほぼ無し、初心者には全く優しくないです……。

というわけで、ここ10年ほどに大ブレイクした絵師の同窓会、久しぶりの作品に再開するのを楽しみに見ていきましょう。


いつも通り、気に入った作品の感想を簡単に。となるのですが、何しろ最近大ブレイクした方々の同窓会、気に入った作品が多すぎるので、今回は前半の3人の作品を書きだします。

伊藤若冲

象と鯨図屏風(16)
MIHO美術館所蔵の象さんと鯨さん。やっぱりこれは象さんの丸い耳とか座り方とか、可愛いのが良いのよなー。
鶏図押絵貼屏風(17)
今回の展覧会に向けた調査で新たに見つかったそうで、まだまだ出てきますなぁ。
これは最晩年の作ということで鶏のカッコよさがupしてますが、ヒヨコのかわいらしさがdownしているような(ヒヨコはあの、まんまる大福なのが良いのよと)
旭日鳳凰図(1)
動植綵絵の前に描かれた、言ってみれば動植綵絵の0作目。塗りもグラデーションも丁寧に丁寧を重ねているのですが、動植綵絵が仏画であることを考えると、この丁寧さも意味があってのことだよなぁと。
乗興舟(18)
これは版画なので各地の美術館に収蔵されていますが、今回展示されているのは、その中でも状態の良い京博所蔵のもの。この作品は若冲を無視して淀川観光案内としてみてしまうのですが、今回も、山崎のあたりは標高が高いなとか、そんなことしか見てません……
石榴雄鶏図(12)
50歳のころ、というから割と初期の作品といえるものでしょうか。脚の線が墨一本で表現されていたり、筋目描きが見えたり、晩年の鶏はと違う描き方が見えます。
雪中雄鶏図(7)
細見美術館の所蔵する鶏。何度も見ているはずですが、枝の節のところに雪が積もってるのとか、細かいことをしているなと初めて気づいたり。
紫陽花双鶏図(2)
プライスさんのところの鶏。そういえば、10年くらい前の携帯電話では、この作品を壁紙にしていたのでした。鶏の羽の色、いろいろあるもんですねぇ。
虎図(9)
ねこ~~~~~~(感想、それだけかい!)

蘇我蕭白

楼閣山水図屏風(29)
瀟湘八景的な山水図ですが、縦方向の強調が蕭白さんらしいかなと。
富士・三保松原図屏風(28)
左側にある半円の虹が目立ちます。よくある画材を選びながらも、虹のようなカラフルなもので味付けするの、楽しいです。
唐獅子図(21)
勢いだけで描いたかのような絵で、署名も酔っていたかのような大きさと勢いなのですが、だからと言って獅子は二頭とも崩れていないあたり、さすが蕭白かと。
虎渓三笑図(30)
あーこれ、定規で引いたかのような直線的な滝が好きだわ~。これなんかも、縦長の掛軸に合わせて縦方向を強調しているのが好きですわ。

長澤芦雪

白象黒牛図屏風(33)
犬は卑怯、犬は卑怯、犬は卑怯……(かわいい)
秋景山水図(44)
これは見るのが初めてかもしれません。川沿いの秋の景色、船を小さく描くことで自然の大きさを表現しています。
方寸五百羅漢図(45)
あの、これを拡大図も解説もなしで展示するって、チャレンジングな……。展覧会で使用する単眼鏡は倍率が4~6倍のものが人気のようですが、この作品は8倍でもきついです……。
花鳥図(41)
お花が沢山。花の実物も見て描いているのでしょうけど、ちょっとかわいい方向に振ってる気もして。
群猿図襖(32)
手長猿でなく日本の猿ですよ。それが上野のサル山状態。これを襖にして、室内で見ていると、いつでも動物園気分になれるんじゃないかしら?(描いたころに動物園はないだろ……)


展示はこの後、岩佐さん、山雪、白隠、其一さん、国芳と続きますが、それらの作品はまた次回に。

顔真卿展@東京国立博物館

東京国立博物館で行われている、顔真卿展に行ってきました。

日ごろから書は判らないと連呼している私のこと、当初はパスするつもりで考えていたのですが、台湾故宮でもめったに展示されることのない作品が展示されていて、それに1~2時間待ちの列がになってるというのを聞いて、そんな珍しいものなら見に行こうかと……。要するに単なるミーハーです。

展示は、日本にある中国の書の拓本を用いて、中国の書の歴史を古代から最近まで見ていこうというものでした。そのクライマックスに顔真卿が来るという感じ。
何しろ、一番最初は篆書・行書・叢書・楷書から始まって、王義之など書のスーパースターの紹介があって、それから唐時代の書が出てきて、更には日本の書や宋~清の書まで見ていくのです。これを書に興味のない人にも判りやすく説明するのだからm、大したものです。
まるで、「ねぇみんな署は難しいって言うんでしょ?わかりやすく教えるからついてきて!」とでも言っているかのようなサービス精神が感じられて、頑張りましたねぇ、東博さん。

しかしこうやって時代を追ってみていくと、名の売れた書は読みやすさがありますね。楷書だけでなく、草書でもなんとなく読めそうな気がします(多分、気だけですが)。そういうのも、書が残るためには必要なのかも。


展示の中では、紀泰山銘が撮影可能でした。とにかく大きい。というか、東博さんの所蔵品とのことですが、過去に見た記憶がなくて……。





そして今回のメイン、台北故宮でもめったに展示されないという「祭姪文稿」です。twitterの公式ツイートを見ると90分待ち、なんてこともあるようです。

私は9日の土曜に行ったのですが、夜間開館を利用して20時過ぎに並んだら15分ほどで見ることが出来ました。清明上河図よりも空いてますね(比較対象に問題がないか?)。

内乱で親族を殺されたことに対する感情の現れた文字に目が行きます。この作品は、読みやすさよりも、文字に現れた感情を見るものですね。

あと、これは余談ですが……今回も乾隆帝のハンコはちゃんと押されてまして……。
乾隆帝は何でも持ってますなぁ……。さすが中国皇帝というべきでしょうか……。
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