月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

再訪,皇室の名宝展(2)

さて,土曜日の駄文の続きです.土曜日は特別展示室1室の若冲を見ているところで力尽きたところまで書きましたので,今日は速やかに第2室に行きます(^^;;).


第2室は円山応挙でスタートします.「旭日猛虎図」というのがあって朝日を仰ぎ見る虎,という解説が付いていましたが,どこから見ても太陽って美味しいかにゃ?にゃ?にゃ?,と思っている猫にしか見えません(^^;;).
同じく応挙の「源氏四季図屏風」.源氏物語の六条院の四季を表した屏風ですが,流水の表現がうまいなぁと.

それから,酒井抱一の「花鳥十二ヶ月図」がありました.琳派版の12ヶ月のカレンダー.「花鳥」図ですが抱一さん,鳥の方に力入れて書いているような気がします.それにしても,10月の鳥は,柿を食べたそうです…….

この部屋にあるのはほとんどが屏風か掛け軸ですが,一つだけ巻物があって,それが「小栗判官絵巻」,岩佐又兵衛若冲の次に混雑している作品で,金曜の夜間開館の時はともかく土曜日は満足に見ることが出来ませんでしたが,それにしても細かくて緻密な絵です.あと,でかいなぁ,閻魔様…….

そして,葛飾北斎の「西瓜図」.版画ではなく肉筆画ですが,西瓜の皮が干されてます…….ある意味衝撃的な作品です.


と,こんな感じで過ごす第2室を出ると売店があって,図録とか売ってます.図録は第1期と第2期で別冊でそれぞれ2000円ずつ.ちょいと高いですが,セットで買えば貰える袋が良いデザイン.袋目当てで買ってしまいましたわ(^^;;).


それでは第3室に参りましょう.第3室と第4室は明治以降の作品です.基本的には私の対象外ですが,さすが帝室に納められたもの,そんな私でも気になる作品がいくつかありました.

杉谷雪樵「大納言公任棒梅花図」.銀箔の中にたたずむ大納言は何を思っているのか?.なんか吸い込まれるような作品です.
平福百穂「玉柏」.屏風のごく一部の話ですが,夫婦なんでしょうか?見つめ合っている鳩がかわいいです.
橋本雅邦「夏冬山水図」「春秋山水図」.淡い感じ,余白,水の感じ,もやの感じ,それらが絡み合って,非常に好みの作品になっています.
荒木?畝「孔雀之図」.いや〜,すごい写実的.若冲は細かいのに,細部は写実的なのに,何故か全体がファンタジーなのですが,この方のは実物通りという感じ.クジャクの図ですが,クジャクよりもその上に飛んでいる蝶の細かさに引き込まれました.
旭玉山「官女置物」.象牙を彫ったものらしいですが,大理石で作ったように見えます.比較するのも野暮ですが,ヴァチカンにあるミケランジェロのピエタを連想してしまいました.何となく,女性の神聖さが,ね.

と,こんなふうに見ていると目の前に登場するのが特大のタペストリー.西陣の会社が作成したものとのことですが,その巨大さと,織物で日本画を表現してしまう細かさに圧倒されます.

さて,タペストリーに圧倒されたあと,最後のコーナーになります.
川合玉堂「雨後」.もやの感じに春を感じる,淡さがよい感じです.

そのほか,額縁に入れた水墨画のような七宝とか,掛け軸に見えるように仕立てた友禅とか,なんか間違った方向の,でも芸が細かいものもありましたが,最後にこの一品.


上村松園「雪月花」.雪は枕草子,月は源氏,花は伊勢だそうで.3枚の絵に登場する女性の優しい顔立ちが印象的です.



ということで,展示総数80点,といっても若冲の30幅と抱一の12幅がそれぞれ1点として計上されているので,それを考慮すると120点ほどの作品を見たことになります.決して多い数ではないのですが,正直言っておなか一杯.もうこれ以上は見れません,って感じですわ.ほんとにすごい展覧会.そして,そんな作品のほとんどを所有している三の丸尚蔵館は,やっぱり展示スペースをもう少し拡げてほしいものだと思うわけです(^^;;).


さて,第2部は来月12日から.今度は正倉院宝物や俵屋宗達も登場ですので,第1部以上に盛り上がりそうです.でも,会期が短いのよね…….