月猫ツーリスト雑記帳

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仏像修理100年@奈良国立博物館

最近国立博物館で流行っていることと言えば、耐震補強があります。東博では東洋館、京博は新館を取り壊して立て直し、そして奈良博では西新館が耐震補強中です。
その奈良国立博物館、西新館の工事に合わせて本館も照明などを改修して、ついでに名称も「なら仏像館」に改称しています。そんな「なら仏像館」のこけら落としで開催された展覧会、早速見てきました。



なら仏像館の方は仏像の特別展ですが、展示されている仏像の多くは特別展期間が終了しても展示されているような気がします。
なので、特別展としてきちんと見ないといけないのは、東新館の仏像修理100年の方です。


この展覧会、要するに奈良国立博物館や、一部は文化財研究所などで行った仏像の修理について解説をしているものです。ですので実物、というよりは図面やパネルが多いのですが、このパワーは何なんだ……。凄く力を感じる展示です。

それにしても修復って奥が深いです。軸となる木が折れているので樹脂で支えたり、修復するにしても作ったときの姿にするのか今の姿をベースにするのか悩んだり、何とも大変そうです。でも、関わってみたい気も、少しだけします。


もちろん、実物が置いてあるものもあります。
例えば三十三間堂の千手観音様。1000体もあると年に20体ずつ修復しても50年掛かるという大変さ。というか、50年も経ったらまた最初から修復をしても良い年数ですよねぇ……。
その観音様ですが、ガラス越しとはいえ三十三間堂東博本館11号室よりも近い位置で見ることが出来ます。沢山の手に持っておられる沢山の宝物も、一つ筒みることが出来て、良い経験が出来ました。

それから興福寺の阿修羅様。昨年大ブームになったあの仏様です。実物は興福寺国宝館にいらっしゃいますが、模造復元したものが展示されていました。奈良時代の色を身にまとった阿修羅様は……ちょっとおっさんくさい感じでした。少年の面影は何処へ?


とりあえず、この展覧会は見ておいて損はないです。きっと、修理をテーマにした展覧会はこの先10年以上開かれないと思いますし。

おまけ:なら仏像館について

当然ながら、なら仏像館の方にも入ってみたのですが、どうも納得のいかない点が4点有りました。うーん展示しているものはよいのですが、ちょっとねぇ……

  1. 名称「なら仏像館」って、別に本館のままでも良かったと思います。軽めの名前で親近感を狙ったのでしょうけど、新館と対応が取れていませんし、国立博物館はどっしりと構えて欲しいですし……
  2. 照明は流行のスポット照明を多用しています。重要文化財の建物に傷をつけないために、展示ケースの上からアームを伸ばして照明を取り付けるという苦労をしていました。素晴らしいアイデアです。ただ、折角スポット照明を当てるのだったら、展示ケースのガラスは無くても良いように思うのです……
  3. 順路は基本的に時計回りを想定しているようですけど、北側の部屋は反時計回りで回らないと説明版の位置が説明できない場所にあって……。統一しましょうよ。
  4. 今回から、興福寺側の正面入口は閉鎖して、新館側の入口から入るようになりました。それは良いのですが、正面入口はシャッターを下ろしていて、無骨なシャッターが建物を記念に撮影したときに邪魔だわ。科博のように、使わない入口であってもシャッターなどは開けておいて欲しいです。

いや、本当に展示されている仏様は素晴らしいものばかりなんですけど……。