中国新聞の社説にもあるように,旧広島空港である広島西飛行場からJ-Airが撤退します.広島西飛行場は新広島空港があまりにも広島市内から遠すぎることから広島空港開港後も存続していましたが,結局のところ充分に活用されることなく旅客機用の空港としての役割はほぼ消滅するようです.また大阪では伊丹空港に押されて関西空港がどんどん旅客数を減らし,結局のところ国主導で無理やり騒音問題を利用して伊丹空港発着便を関西空港に持ってくる事態となっています.
このような事例,といってもこの2事例しかないのですが,を考えると,この国では1つの都市圏に2つの空港というのは受け入れられない傾向があるように思えます.
なぜ受け入れられないのかを考えてみると,理由は2つほどあると思われます.
まず第1に,過度の東京一極集中が挙げられます.東京への一極集中が起きているため,東京と他の都市を結ぶ便以外の航空便は客が少ないから便数が少ない,便数が少ないから客が乗ってくれない,というデフレスパイラル状態になりがちです.このため,東京便の飛ばない空港は,利用者が減少しがちな傾向があります.しかも,東京の羽田空港は過度の東京一極集中の影響で国内最大の空港設備を持ちながら既に発着便数が足りない状況で,航空各社は機材を大型化することで乗り切る始末(だから一番小さい飛行機でも130人乗りの737).このあおりで,日本国内では小型機が全体的に少なく,これもまた便数の減少に拍車をかけています.便数が少なければ,機材の効率的運用のために片方の空港に便を集中させようと航空各社が考えるもの仕方がないでしょう.
そして第2に,新幹線を筆頭に鉄道網が発達していることが挙げられます.このせいで,300km程度の距離だと飛行機が要らないことになり,近距離便(小型機で便数を増やしたほうが乗客が増えやすい)と長距離便(大型機を使用する必要があるが便数が少なくても比較的乗ってくれやすい)で飛行場を使い分けるという芸当がやりにくくなってます.予断ですが,新幹線の無い北海道では,長距離便(道外便)は千歳,近距離便(道内便)は丘珠,という使い分けが成功している,国内唯一の例となっています.
さて,こう考えると,J-Airが名古屋空港を拠点にした運行をしても,生き残れる可能性は低く見えるのですが…….前例を打ち破ることができるのか,今後注目したいと思います.