東京芸術大学の美術館で、コレクション展が開かれていましたので、見てきました。
この芸大のコレクション展は、毎年春の恒例行事として開かれていますが、今年は例年よりも少し遅めですかね、大型連休にかかる期間での開催となりました。
芸大のコレクションは、芸術大学の美術資料として集められたものと、在校生の卒業制作などによって作成されたものを保存したものの両方が有ります。過去のコレクション展では前者の作品が中心でしたが、今年は展示スペースの半分を『藝コレの「60-70ʼs 」』と題して、後者の作品を展示しているのが特徴的です。まぁ、作品への親しみやすさなどの理由で、どうしても前者の作品の方が見ていて楽しいのですが……。
とりあえず、気に入った作品について簡単に書き留めておきます。
- 絵因果経
- 天平時代に作成された「過去現在因果経」。下段に経文、上段にその経文を説明した絵が描かれる、絵解きや絵巻の元祖的作品です。とても絵が稚拙なのですが、稚拙かどうかよりも、天平の色が鮮やかなに残っていることが一番重要です。
- 繍仏裂
- こちらは更に時間をさかのぼって白鳳時代もの。仏様の描かれた布きれです。1300年前の刺繍が残ってるというのも、良く考えればすごいことです。
- 浄瑠璃寺吉祥天厨子絵
- こちらは1212年に作成されたもの。浄瑠璃寺の吉祥天と言えば美しさで有名な秘仏ですが、それを収めた箱の絵の方も、吉祥天さまの衣の模様が細かいくて、色も良くて、やはり美しいものだったのですね。
- 曽我蕭白「群仙図屏風」
- とても古い仏教関連の作品にゆったりとした時を感じていたところに、蕭白さんが殴り込みです(をぃ)。薄めの墨でぐいぐいぐいと描かれるのは仙人たち。右側にいる女性の仙人はおよーふくの細やかさが見どころ、そして左側にいる正面を向いたおじさんは、困り顔のような表情が見どころです。。
- 橋本関雪「玄猿」/西村五雲「日照雨」
- このお二人の作品、どちらも動物が描かれてますが、なんかここだけ山種だなぁと(をぃ)
- 高橋由一「鮭」
- 数年前に開催された高橋由一展では人だかりができていたのですが、今日は周りに誰もいません……。どこまでも写実を追求した作品で、確かに鮭の鱗ってこんな質感だよなぁ、なんてところに目が行きます。
- 有元利夫「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」
- 『藝コレの「60-70ʼs 」』で展示されていた作品です。卒業制作で作成された作品ですが、最初から作風が変わってないですね。
展示は地下のワンフロアなのであっさりと見ることが出来ましたが、もう少し、量が欲しかったかな?
『藝コレの「60-70ʼs 」』を併設するのなら地下の2フロアを両方とも使っても良かったのでは、と言う気もしました……。
おまけ:不忍池にて、スズメも樹にしがみつくのね