月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

奇才ー江戸絵画の冒険者たちー@江戸東京博物館(後編・江戸と諸国)

前日に引き続き、江戸東京博物館の奇才展です。
今日は後半、江戸と諸国の絵師の作品を見ていきます。

(前編はこちら)
lunacat.yugiri.org



ということで、江戸に入りました。

江戸の最初に展示されているのは葛飾北斎、小布施の屋台の天井画「上町祭屋台天井絵 女浪」と「東町祭屋台天井絵 鳳凰図」です。屋台天井なので上下どちらから見てもかっこいいのが特徴、とはいえ、今回の展示では片方向からしか見ることができません。
にしても、波も、鳳凰の羽も、リズムがあって迫力ですな。

また同じく葛飾北斎の「桜に鷲図」は、鷲が手前に飛び出す立体感がありますね。この作品は鎌倉国宝館で何度も見ているはずなのですが、立体感には初めて気づきました。


狩野一信の「五百羅漢図」は、江戸絵画一のアクの強さといって良いかもしれません。毎度ながら羅漢さまが濃いですわ。


そして諸国編です。基本的には北から南の順で並んでいます。

まずは松前藩の蠣崎波響さん。アイヌの絵で有名な方で、今回も「夷酋列像図」が展示されています。これ、文面は松平定信が書いたのか。

駿河の白隠さんも来ています。「蓮池観音像」の観音様のなまめかしさ、これが良いのですよねぇ。

博多に飛びまして仙厓さん。今回は永青文庫の「朧月夜図」が展示されていましたが、即興でさらっと描いた風味の線が、緩さに拍車をかけていて、良いですなぁ。

尾張の田中訥言さん。「日月図屛風」は左隻に月、右隻に波が描かれているのですが、最小限の手数なのに余韻を感じる描き方に惹かれました。

岩佐又兵衛さんは京都ではなく福井からの出場です。なので福井時代の作品ばかりなのですが、「三十六歌仙図」は岩佐さんらしい顔の形を見ることができました。

そして今回の展覧会で一番のメインかもしれません、土佐の絵金が登場します。それも4枚も。とはいえ東京に持ってくるのに選んだのか、出血は少なめですね(汗)。それにしても色が鮮やかで。これを夜に蝋燭の明かりで見るのですから、高知の人って心臓が強いですなぁ。
f:id:Lunacat:20200605211818j:plain

最後にあったのが長崎の片山楊谷さん。「竹虎図屛風」という虎の絵がありましたが、毛が丁寧に描きこまれていて。とはいっても山雪のようなベルベットのような質感ではなく、荒々しさを感じます。なんとなくジャコウネコとか、そういった感じの毛並みに感じます。


といった感じで、江戸絵画を大量に見てきました。皆さんどれも個性的で見ごたえがありました。
これだけバリエーションが出てくる江戸時代、特に1800年ごろの凄さを感じずにはいられませんです。