月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

山種美術館「江戸絵画への視線」

暑い中に山種美術館に行くのは正直大変なのですが、昨日の日曜日に頑張って行ってきました。
普段は山種美術館へは恵比寿駅から徒歩で行くのですが、暑さ対策を兼ねて渋谷駅から日赤医療センター行きのバスで向かいまして、歩く時間が大夫短縮できました。


今回開催されていたのは「江戸時代への視線」という展覧会。明治以降の日本絵画が専門の山種美術館で江戸時代絵画の収蔵品展と言うことに若干の矛盾も感じますが、山種さんは本当に色々なものをお持ちです。何でも、最初にコレクションしたのは江戸絵画だったそうで、偽物をつかまされることもあったので作者から直接買うようにしているうちに近代絵画が中心になってしまった、ということらしいです。


それでは、幾つか気に入った作品について、何時も通り適当な感想をば……

宗達・光悦ペア「新古今集鹿下絵和歌巻断簡」
宗達が描いた沢山の鹿の上に、光悦が新古今集の和歌を書いたもの。元々は巻物だったのを切り刻んだ一部です。サントリー美術館で開催されたシアトル美術館展の際にこの部分、見たかしら?。断簡になってしまったことには何とも言えないものを感じますが、それにしても山種さん、いい断簡を入手されています。
酒井抱一「飛雪白鷺図」
何か思うのですが、日本絵画で白鷺を描いた方々って、実際に飛んでいる姿を見ているのかしら?と思うほど、皆さん同じ構図……。本当にサギってこんな感じで飛ぶのかな?
鈴木其一「伊勢物語図」
伊勢物語の場面を描いたものです。それにしても、いくら価値観が違うとはいえ、自分でご飯をよそうくらいで諦めるのは、しょせんその程度の恋だったということではないのかしら?。それにしても大きい米櫃です。
鈴木其一「四季花鳥図」
右は春夏(菜の花、向日葵)、左は秋冬(菊、牡丹、鴨)という屏風です。左側が細かい描き方で、如何にも其一さんという感じの作品になっています。
池大雅「東山図」
池大雅さん線が細かいです。この作品は京都東山という設定ですが、それにしては鄙びたのどかさです。江戸時代はこんなひなびた世界だったのかしら?
椿椿山「久能山真景図」
流石に1830年代の作品とも鳴ると、なんとなく、明治っぽい描き方だなと。いや、線の太さとか色の感じが橋本雅邦さんとか思い出すわけですよ。
山本梅逸「桃花源図」
梅園の梅の色が何とも淡くて、如何にも桃源郷という感じ。
柴田是真「炭林筆哥」
超絶技巧の是真さん、漆で絵を描いております。漆の光沢もあって、筍がきれいだわ。
狩野芳崖「芙蓉白鷺」
えっとまた白鷺ですが、芳崖の鳥は目がキツイなぁ,などと……。

あ、そういえば今回の展覧会のパンフレットで一番大きく取り上げられていたのは岩佐又兵衛でした。その岩佐さんの作品、山水画でないのにモノクロというのが不思議な感じです。それにしても、墨の色が非常に濃いのが印象的です。


ということで、全然魅力を表現できてませんが、良い展覧会でした。9月11日までの開催なので、8月末くらいにもう一度行ってみたいと思っています。