月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

長谷川等伯と狩野派@出光美術館

この前の日曜のことですが、出光美術館で「長谷川等伯狩野派」展を見てきました。

長谷川等伯といえば、昨年の春に東博と京博でやっていた長谷川等伯展のイメージが強く、狩野派と並べられるとどうしたって等伯を応援したくなります。何となく、一代で狩野派と並び日本画壇の頂点に到達しながら、跡取り息子は早死にし、晩年は寂しく松林図屏風を描いたというイメージです。かなり無茶苦茶ですが、そんな感じに見えちゃったのよね。
もちろん実際は一人寂しくなんてことはなく、ちゃんと長谷川派と称される絵の系譜を残したのですが、長谷川派の絵を見ることが余りないので、勝手に独居老人な晩年を想像してしまっちゃうのよね。

で、今回の展覧会は、長谷川派と狩野派の絵画を並べて、お互いが競い合ったり取り入れたりする様を見て行こうと、そんな感じのものでした。ということで、普段見ることの少ない長谷川派の作品がたくさんあり、長谷川等伯の作品は3点と少なめでした。まぁ、他の美術館から何も借りてこない収蔵品展で長谷川等伯を3点も出してこれる出光美術館恐るべし、なんですが。


そんな等伯を贔屓目に見る視線もあってなのか、気に入った作品は全て等伯のものと、偏ってます私。
ということで、等伯の3作品について、簡単に感想を書いておきます。

 :長谷川等伯「竹虎図屏風」:いやん、この猫、じゃない、虎が可愛いわ。左隻の虎が凛々しいのに対して、右隻の虎はまさに猫。猫じゃらしを投げ入れたらじゃれてきそうな感じです。実に可愛いです。

長谷川等伯「竹鶴図屏風」
竹やぶの中で、鶴が……寝てますな。鶴というとすくっと立っている姿ばかり描かれて、若冲ですらも、丸く描いても立った状態だというのに、この絵は寝てます。寝る鶴というのはなかなかない構図で、じっくりと見てしまいますね。
長谷川等伯「松に鴉、柳に白鷺図屏風」
こちらはカラス。カラスさんが巣ごもりしています。カラスさんの巣ごもりなんてシーンを描く方なんてそうそういないわけで、それだけでも驚きます。あと、この絵は余白だらけですが、そこが、鳥の飛ぶ空に合っている気がして、良かったです。


なんか妙なところばかり気に入っている感じですが、一代で名声を築いた等伯の独創性に惚れ込んだと思っていただければ。
等伯以外の狩野派や長谷川派の作品を見ていると、綺麗なんだけど構図とか線が単調なように思えて、それも独創性の差のように感じるのです。