東京国立博物館というところは時々妙に恐ろしいことをするところで、中国の美術館から大量に本場の中国絵画を借りておいて、それを常設展示室で常設展示料金で見せてしまうということをしてしまいます。本館の特別5室が空いてますので、別に展示室が不足しているからというわけでもないのに、こういうことをしますからね……。ほんとうに恐ろしい……。
ということで、上海博物館からお借りしてきた中国絵画を展示していたのは東洋館4階の第8室。普段は東博の所蔵する中国絵画を展示している部屋です。
展示されている点数は30点弱でしたけど、その気になってみると面白い点もあるわけで。毎度のとおり、何点か感想を書き出してみます。
- 08「西湖図巻」
- 絵よりも、絵の周辺にある印鑑の数々のほうが面白いかなぁと。なんとなく、中央の湖や、周囲の寺などの建物の場所が、雪舟の天橋立図に似ている気がします。
- 29仇英「剣閣図軸」
- 山の中のつづら折りの道を描いた図。山道を上の方まで人が連なっているのが描かれています。中央に描かれている木の橋が、良い風情の形をしていて好みですわ。
- 13王淵「竹石集禽図軸」
- よく日本にもある、鷹のつがいが2羽、樹の枝に止まっている図ですが、ちょっとお前、ポーズ作りすぎだろ?(汗)
- 14張渥「九歌図巻」
- すごく細い線で描かれた、女性の衣の絵が緩いカーブで好みです。
- 32呉彬「山陰道上図巻」
- 修飾し過ぎな山の形が特徴的な絵巻です。これが地層として現れている模様ならヨーロッパアルプスの褶曲地形にありそうですが、山の形としてはやっぱりやり過ぎだよねぇと。あと、塗りの薄いところがあって、なんか岡鹿之助ぽいなぁと。水墨が洋画と似ているといっていたら世話はないですが
そうは言っても、中国では結構気に入られていた作品のようで、見た人の印鑑があちらこちらにぺたぺたと。この、見たら印鑑を押すという風習も面白いですね。 - 40揮寿平「花卉図冊」
- 清朝まてくると、絵が当世風になりますね。花の絵はちょっと抱一っぽい感じもしました。秋海棠と白桃の絵が可愛らしいです。
ふぅ。いや、価値基準が可愛いかどうかな私には、水墨画の感想って難しいやね……(最後の一言がそれかよ)