月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

京都展@東京国立博物館

東京国立博物館で開催されていた京都展について、感想を書いておきます。
f:id:Lunacat:20131120163008j:plain:w280


この展覧会、京都とは言っても安土桃山時代の京都を丸ごと東京国立博物館に再現してしまおうという感じの展覧会でして、その頃に描かれた洛中洛外図屏風と障壁画を持ち込んでの空間再現に挑戦しています。ですが、出展リストがA4で1枚、しかも裏面は英語版という構成に、ただならないものを感じます。


さて展示室に入って、まず最初は舟木本の洛中洛外図屏風を大写しにした映像。4つの巨大スクリーンで、屏風の見どころを紹介するものですが、1つの映像が2分程度なので飽きる前に見終わるというか。結局4つの画像を全部見てしまいました。長すぎない映像というのが上手いですね。


映像の次は、まず一つ目の目玉、洛中洛外図屏風。国宝・重要文化財になっている7つの洛中洛外図屏風を全部持ってきてしまおうという企画ですが、前期と後期で出てくる屏風が異なっていて、同時に見られたのは4つまで。ですが、残り3つも実物大のパネルでてんじされていて、7つとも見ることが出来るのは良いですね。

この中で唯一の国宝が上杉本ですが、その対面に展示されている舟木本のほうが混んでまして。展覧会でも一押しは舟木本でして。確かに上杉本は永徳が描いたとか、将軍足利義輝が発注したとか、織田信長が上杉謙信に贈った、というような来歴込みで国宝になっているのかなという感じで、絵としての面白さは舟木本のほうが上でしょうと。

舟木本は、今回の展覧会で「伝」の字が取れて、晴れて岩佐又兵衛作となってます。
この舟木本は若干保存状態に難がありますが(そういう意味では上杉本は大名家に伝わったものらしい、素晴らしい保存状態です)、とにかくも埋めつくされる人の多さが特徴で、活気がありますね。右に豊臣方の豊国神社、左に徳川側の二条城という対比も面白いですが、活気はやはり右の方に集中してますね。鴨川の周辺は一大歓楽街だったんでしょうなぁ。

あと、個人的には池田本。金の雲がまばゆいです。こちらは二条城と京都御所を中心に、後水尾天皇のもとに東福門院(徳川和子)が入内する場面を描きます。とても整った線で描かれていて、あたしゃ好きですわ、これ。


後半の展示会場も、まずは龍安寺の石庭の四季を4K*3の映像で。こーゆーのを見ると、4Kの映像も欲しくなりますね。64インチで20万円くらいなら買わないでもないのですが。
この映像も、余り長い時間の映像でなかったので、比較的見やすかったのかなと思います。


その先の展示室ですが、二条城の障壁画がやってきてました。現在、二条城の障壁画は複製に置き換えてますので、オリジナルで空間再現ということ自体が珍しいですが、やはり再現した空間は圧倒的でしたね。
いっその事、靴を脱いで畳にしてしまって空間を完璧に再現しても面白かったかなと(既に美術展覧会ということを忘れている)。
あと、松鷹図は江戸東京博物館で見たはずですが、見た記憶が思い出せないほど、今回の空間再現は凄いですね。


とまぁ、映像最高、洛中洛外集合最高、空間再現最高、という感想なんですが、見終わっての率直な感想は、焼肉定食大盛3人前は胃にもたれますねと言いますか。もう少し箸休めの小品もあったら良かったのにと。すっかり贅沢な感想ですが、そんなことも思うわけでして……。