福岡でのコンサートに行ったついでに、九州国立博物館で江戸絵画のコレクション展示があるというので行ってきました。
この展覧会、九州国立博物館の常設展示室の中の1室、普段は江戸文化を紹介する11室を潰しての特集展示でした。
正直、常設展示を潰さなくても特集展示ができるように予備の部屋を確保しておいて欲しいところですが、バックヤードまで含めて一つの建物なので、そう簡単に土地は捻出できそうにもないのでしょうなぁ。
ところで今回の企画展示は、
- 前期(2/25~4/06):屏風絵
- 後期(4/08~5/18):外国との文化交流
という2期に分かれてまして、私が見たのは前期展示ということになります。個人的な好みとしては後期展示のほうに行きたかった気もしますが、九州まで来る機会はそんなに多くないので、選り好みしている場合ではありません。
ということで、前記展示の屏風絵の感想を書いておきます。展示されている作品が少なかったので、すべての作品にコメントを書いてみます
- 狩野派「帝鑑図屏風」
- 正直なことろ、絵よりも、バイエルン王国ルプレヒト皇太子の旧蔵品という来歴のほうにパンチがありますね。
帝鑑図という題材は個人的には得意ではないのですが、絵の細かさと線の均一さは目を見張ります。 - 洛中洛外図屏風
- 川が直線でなく、ちょっと曲がりくねっているのが、他の洛中洛外図では見かけない特徴と思います。
ちゃんと洛中洛外図のお約束通り、御所も二条城も描かれているのですが、二条城が左隻の左下の隅に描かれていて、あれ?と思います。解説を見ると、右隻を下段、左隻を上段の上下二段重ねになっていると思って見ないといけなかったらしく、そう見れば確かに二条城は上下方向の真ん中辺りにあって通常の洛中洛外図と同じような感じになります。しかし、上下二段とは珍しい……
- 山本宗川「百花図屏風」
- 解説によると描かれている花の数が114種類とか。ですが鳥も虫も出てこない辺り、ほぼ植物図鑑として使うものなんでしょうねぇ。
- 曾我蕭白「群童遊戯図屏風」
- 板橋区立美術館などでも見かけたことがある、気持ち悪い(汗)やつ。今はバックの銀箔が黒ずんで沈んでますけど、作った当時は光り輝いてたわけで……こえーよ。
個人的には、子供の垂れ目と赤い口が怖さの源なのかなと思ってます。
- 狩野宗信「化物絵巻」
- タイトルのとおり、様々なバケモノが紹介されている絵巻です。と、化物といいつつ、狐さんが可愛かったり。あと、最後の方に描かれていた蛸の入道に鯰さんも可愛げがあって。
実際に遭遇したらどうかわかりませんが、日本のバケモノって、絵で見ている分にはカワイイ方が多いですね。
- 土佐派「九相図絵巻」
- この絵巻は、以前に全部を見たことがありますが、今回は最初の死相だけの展示で、ちょっとつまらないなと。まぁ、九相図を全部展示すると、展覧会の趣旨が変わっちゃうから仕方ないか。
- 狩野派「韃靼人狩猟図屏風」
- 土地の関係か、この屏風だけ基本展示室(4階の常設展示の中央の空間を、そう言うらしいです)の方にありました。描き方が古い狩野の感じもしました。あと、岩の描き方に鋭さがあって、そんなところも江戸になる前の狩野という感じが。
といいつつ、この作品の描かれた時期をちゃんとチェックしてないな、私……。
と、全部で7作品という小規模な展示でした。やっぱりね、もう少したくさん展示できるような広い部屋が、九博にも欲しいですやね。