月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

クリーブランド美術館展@東京国立博物館

現在上野の東京国立博物館東京都美術館は共同で「日本美術の祭典」と称して開催している展覧会をまとめて宣伝するということをやっているのですが、そのうちの一つ、クリーブランド美術館展に行ってきました。
f:id:Lunacat:20140121163950j:plain:w280


今回は東博には珍しく、展示スペースが平成館2階の半分だけとなってまして、出展数も控えめに50点程となってました。
とはいっても、海外の美術館が持つ日本コレクションは少数精鋭というか、優品が多いのも事実で、今回も良い作品がありました。

以下に、気に入った作品10点を簡単に紹介しておきます。
※リンクは、クリーブランド美術館のコレクション紹介ページに飛んでます。コレクション紹介をこれだけ丁寧にやってくれる美術館は日本国内にはそんなに多くないですから、嬉しいですね

  • :地蔵菩薩像(鎌倉時代)
    鎌倉時代のものとは思えない、保存状態がとても良い仏画です。菩薩さまをとても細かく描いているのが目を引きます。
  • 遊女物語絵巻
    白描で描かれた物語絵巻です。先日、山種美術館の記念講演会山口晃さんが、白描は絵の上の文字も含めて絵として鑑賞すべきという感じのことを言ってましたが、まさにこの絵は、絵の上の文字がリズミカルで気持ちがいいです。
  • 山本梅逸「群舞図」
    障子の向こうで踊ってる人を描いているのが斬新で、しかも踊っている影が楽しそうなんだわ。
  • 窪俊満「唐美人図」
    着ているおよーふくが、優美な曲線だし模様も綺麗だし、好みですわ
  • 雪村「龍虎図屏風」(左隻 右隻)
    どこから見ても虎は猫である。かわゆいです。
  • 伝狩野松栄・狩野光信「四季花鳥図屏風」( 左隻 右隻)
    ぱっと見は花鳥画なのに、右側のほうで鷹さんがものすごく頑張っているんですよね。花鳥画は楽園を描くものではないというのが伝わってきます。
  • 俵屋宗達「伊勢物語図色紙 住吉の浜」:この色紙とても色が良いです。それにしても、住吉大社で太鼓橋を描かないのも珍しいですね。
  • ベルト・モリゾ「読書」
    ちょっと箸休めのように、西洋絵画も何点か展示されていました。その中では、これが一番好きかなぁ。草むらで読書とか憧れるんですけど、実際にはせかせかしてゆっくり座って本を読むのは飛行機の中くらいな人生です……
  • 近江名所図屏風
    なんかこれも、保存状態の良い屏風でした。近江名所といっても日吉大社石山寺の範囲しか描かれてなくって、琵琶湖の北の方とかももう少し取り上げてあげればいいのとも思ったりしますが、近江って住んでいる人以外にとって近江八景の範囲でおしまいなんですよね。
  • 曾我蕭白「蘭亭曲水図」
    なんか直線と、雲形定規を使ったような曲線がしかも均一な太さで描かれていて、こんな描き方をするのは蕭白さんくらいしかいないよなぁと納得する一枚です。


全体として、文句無しの傑作というわけではないけど、良い作品と思えるものが多かったように思えます。これらのコレクションが第二次大戦後に作られているのですから、頑張れば今からでも一大コレクションが作れるのではないか、という希望が持てますね。といっても、先立つお金がありませんので、自分でコレクションを作るわけにはいかないのですが……。
なので、日本の美術館も、今からでも間に合いますのでコレクション形成に力を入れてほしいなぁ、なんてことを思わず考えてしまった展覧会でした。