大阪市立美術館は、大正から昭和初期に大阪が東洋一の重工業都市だった時代に財を成した人が収集した作品が沢山寄贈されているため、収蔵品が充実していることが特徴となってます。
なので時として特別展よりも収蔵品展のほうがよっぽど豪華、ということも良くある話ですが、今回もそんな展開になりそうな気がして行ってみたわけです。
今回展示されていたのは「田万コレクション」という、これは戦後に活動した弁護士の方のコレクションです。やはり大阪は戦後になっても富の集積地だったので、個人がコレクションを築くことも可能だったのでしょうね。大阪が徐々に東京に圧倒されるようになるのはやはり東海道新幹線の出来た1960年代後半からなのでしょう……という話は、今日の本題でないので横において。
とりあえず、作品を見ていきましょうか……
- 狩野派「四季花鳥図屏風」
- 狩野元信の絵を模写したものらしいです。模写らしく鳥の動きは消えてしまってますが、鷺とか鴛鴦とかは装飾的な可愛さがあって、これはこれで悪くないです。
- 青銅「堪若止水」団華文鏡
- 古代の青銅器もコレクションしていたようで、いくつか展示がありました。そのうちこれは、ライトが良いのか、白銅のような輝きが特徴的で、「古代の鏡=緑」という固定概念が一気に崩れます。
- 原在正「猫図」
- 猫が寝ている絵といえばそれまでですが、寝ている猫って可愛いよね。この絵は猫の毛並みを細かく丁寧に描いているのが特徴的です。
- 守住貫魚「猿図」
- 手長猿とはいえ、手が長すぎではないかと……
1階に降りると狩野派の山水画を集めた関連展示もありましたので、こちらも2作品ほど。
- 狩野派?「蓮池荷葉図」
- 伝狩野元信とされた作品ですが、伝であっても元信とされた作品には(模写とは違って)鳥に動きがありますね。
- 狩野宗秀「四季花鳥図屏風」
- これも田万コレクションの1枚ですが、こちらのコーナーで展示されてます。剥げてはいますが、線の勢いとか構図の訳分かんない感じは永徳の弟というか、この時代を感じるものです。
と、これだけでも充分おなかいっぱいなのですが、その他にも、阿弥陀来迎図のような天から降りてくる神仏を描いたものの特集が有ったり、中国の明清期の絵画の特集が有ったり、中国の仏像の特集が有ったりと……。正直言って、やりすぎです。
ちょっと量が多すぎて最後の方は若干意識がおかしくなって、北魏時代の仏像を見ながら、「はぁ、お腹がぷくっとしてて可愛らしい、お腹さすりたい……」とか思っていたわけでして、展示量が多すぎるのも考えもんだなぁと。