月猫ツーリスト雑記帳

かわいいものを求めて西へ東へ右往左往の記録

宗像大社国宝展@出光美術館

朝鮮半島から九州北岸までの間に直線を引くと、対馬の北端と沖ノ島で、直線がほぼ三等分されます。そんなこともあって沖ノ島は古代から重要な場所として祭祀が行われていたのでしょう。

そんな、沖ノ島を含む宗像大社を取り上げた展覧会が、出光美術館でありましたので行ってきました。
当然ながら国宝に指定されている沖ノ島祭祀遺跡がたくさん出展されている展覧会で、東博でやっても違和感のない感じですが、出光は沖ノ島祭祀の調査や本殿の再建費用を負担したりと、いろいろと関係があるからのようです。


展示は大きく分けると、1つ目の部屋が沖ノ島祭祀遺跡、2つ目の部屋が古代、3つ目の部屋が中世から近世という構成でした。

ということで、まずは1つ目の部屋の沖ノ島祭祀遺跡から。沖ノ島祭祀遺跡は一括して国宝指定されているので、展示室の中はどこを向いても国宝だらけという異常事態です(汗)。
沖ノ島祭祀遺跡は九州国立博物館でもよく展示されてますし、昨年の大神社展でも展示されてましたので見慣れてますけど、これだけの数を一度に見るのはさすが初めてです。

この中ですごかったのが、古代の鏡。特に17号遺跡から持ってきたものは状態がどれも良くて模様が鮮やかでね。ちょっとこないだ作って持ってきましたと言っても通じそうな感じでしたわ。
それからガラス玉なども、銀化せずに澄んだ緑色のままのものがあったりして……。なるほど、これは確かに海の正倉院。まるで校倉造りの蔵の中で長年保存していたかのような保存状態です。


そして2つ目の部屋ですが。

最初に律令期の沖ノ島祭祀遺跡が展示されてました。ですが、どうも露天祭祀のせいか、美しさが今一つな感じでして。ちょっと気分が乗ってきませんです。

あと、伊勢神宮から古神宝を沢山借りてきてました。沖ノ島祭祀遺跡にあるものと同じ形のものが伊勢神宮の神宝にもあるというのは、神道祭祀が連続しているという証拠で、なんか凄いなと感じます。


最後の部屋は中世編。面白いのは、「寄せ物」といって、漂着物は(たとえ難破船の所有者が登場してきても)宗像大社のものという、まるでジャイアンのような論理展開。そうやってジャイアン的に手に入れた財産で本殿などを修復してしまうとか、すごいですわ……。

そして一番最後に展示されていたのが、福岡藩主の黒田さんが奉納した三十六歌仙の額。歌を書いたところの料紙がとても綺麗だったり、人物を描いた絵の部分も衣に型押しの模様があったりして、とても気合を入れて作っているのが分かります。
面白かったのは斎宮女御で、顔の上半分几帳からはみ出したように描かれていて……そこは屏風などでほぼ全身を隠すのが常道じゃないのかしらと思うのですが……



とこうやって感想を書いてみると、やはり沖ノ島祭祀遺跡の印象が強いですな。出土した場所によって状態が違うことなど、量を多く展示しているからこそ分かることもあって、勉強になりました。
今度、九博で沖ノ島祭祀遺跡を見るときは、そんな、出土した場所にも注目して見ることにします。